今回は「長徳の変」から始まりました。
矢を射た相手が花山院だと気付き、逃げ出す伊周・隆家兄弟。
花山院も出家の身なので、外聞を憚り「私はここにおらぬ」と繰り返していました。
お互いに本当は隠したかったのかと思いますが、屋敷の主である斉信にとっては、さすがに何もなかったことにするには事が大き過ぎましたね。
伊周・隆家兄弟にさらに追い討ちをかけたのは、女院詮子と右大臣道長への呪詛事件でした。
女院が病になり、倫子が「悪しき気が漂っている」と女房達に調べさせたところ、呪符がたくさん見つかりました。
では、本当に伊周達が呪詛したのかというと、嵌められたというのが真相なのではないかと思います。
史実では、政敵であった道長陰謀説が有力ですが、ドラマでは倫子の「私にお任せください」というセリフが意味ありげでした。
躊躇う道長でしたが、倫子の自信たっぷりの笑みを見て、何か察したようで承諾します。
倫子の笑みは何だったのでしょうか?
一気に伊周達を処断しない道長の対応に業を煮やした女院詮子陰謀説がありそうです。
詮子の仕業だと察した倫子・道長が、内々に納めることを選択したのだと思います。
では、なぜ実資が知ったのでしょうか?
ドラマでは黒幕が誰だったかがそもそも明らかにされていないので、どうして公になったかに疑問が残ります。
詮子が仕組んだことだとすると、道長が告発することを想定していたことでしょう。
ところが、何も起きない!
詮子は焦ったことでしょう。
次の手段として選んだのが、検非違使庁の別当(長官)であった実資の耳に入れることだったのだと思います。
実資という人物は、『小右記』からわかるように、偏屈で融通が利かない性格です。
耳に入れるだけ、そうすれば動いてくれる、と読んでいたのではないかと思います。
まあ実際には、道長・詮子共謀説がもっとも自然かと推察しています。
そして、伊周・隆家の左遷決定から、中宮定子を盾にとっての二条邸立て籠り。
そこに踏み込む実資率いる検非違使。
『小右記』に詳細が記されています。
そして、定子が髪を切ってしまいます!
このドラマティックな出来事は、もちろんオリジナルですが、定子が出家したのは史実です。
出家というのは、宮中での地位の放棄を意味するのですが、この後、定子は子供を3人産みます。
これは、花山院のお忍びよりスキャンダルではないかと思いますが、ドラマではどのように描かれていくのでしょうか。