元祖源氏物語ヲタクと言えば、菅原孝標女がまず思い浮かびます。
『更級日記』では、
はしるはしる、わづかに見つつ心も得ず心もとなく思ふ源氏を、一の巻よりして、人もまじらず几帳の内にうち臥して、引き出でつつ見る心地、后の位も何にかはせむ
と『源氏物語』を夢中で読みふける部分がよく知られていますが、物語の冒頭でも、等身の薬師仏まで作って(!?)、「京に行かせて、たくさんの物語を全部読ませてください」と祈っています。
念願叶って、叔母から『源氏物語』をプレゼントされた時の孝標女ちゃんの熱狂は、文学ヲタクならよくわかるはずです。
ところで、この叔母は藤原道綱母なのだろうかとふと興味が湧きました。
藤原道綱母は、孝標女の母の姉になります。
つまり伯母なのですが、孝標女が産まれるかなり前にすでに没しています。
時系列においてかなりの開きがあるので、これは何かの間違いではないだろうかと思ったのですが、道綱母は藤原倫寧の20代の子供で、孝標母は60代の子供と推察されているようです。
なお、孝標母が孝標女を産んだのも30代だったため、道綱母と孝標女は約70年も年の離れた伯母と姪になったようです。
ということで、「光る君へ」において、紫式部と菅原孝標女が会うという設定は、残念ながら不可能みたいです。