第3回では、宿直の夜に、藤原道長、藤原公任、藤原斉信が恋文を見ながら語り合う場面がありました。

「雨夜の品定め」へのオマージュかと思われます。

帚木」の巻で、五月雨の夜、源氏と頭中将たちの間で語られた女性談義ですが、この時の会話が夕顔との出会いにつながっていくので、印象深い場面です。

ドラマでは、現代の若者のような軽いトークになっていました。


この場には登場しないのですが、頭中将役はお笑い芸人の方がされていました。

役職名なので、人物が限定されるわけではないのですが、『源氏物語』のせいで、頭中将=色男のイメージがあるので、納得できない気分になりました(笑)

色男ポジションは、藤原公任です。


男子会とは対比的に、女子会はまひろ(紫式部)が倫子(後の道長の正室)たち上級貴族の姫の勉強会に参加していました。

毒舌の紫式部が、珍しく日記で歌を誉めていた赤染衛門が講師という設定も面白く感じました。

「つくり」のお題に「へん」を合わせていく「偏継」という漢字ゲームで、まひろが空気を読まずに一人勝ちをします。鷹揚に笑う倫子の様子は、身分の違いによる学識や教養についての熱意の差がよく現れていました。

平安朝のお姫様の遊びとしては「貝合わせ」が一番に思いつくので、漢字の遊びに違和感を覚えて確認したら、「偏継」は『源氏物語』にも登場するそうです。どの場面にあったかはわかりませんでした。


紫式部と漢字については、「紫式部日記」の

清少納言こそ、したり顔にいみじうはべりける人。さばかりさかしだち、真名(まな)書きちらしてはべるほども、よく見れば、まだいとたらぬこと多かり。

が有名で、清少納言を痛烈に非難しています。

「男でないのが残念だ」と父親に言われて育ち、「一という文字すら書かなかった」という紫式部にとって、漢籍の知識をひけらかし、誉められたことを自慢する清少納言の存在はさぞや苦々しく、また知識の披露を躊躇しないことへの妬ましさもあったのかと思います。


二人は宮中生活が少しずれるので、実際に会ったことはないかと思いますが、ドラマでは交流もありそうなので、どのように描かれるのか楽しみです。