次の日は、この旅の最大の目的であったノイシュヴァンシュタイン城とリンダーホーフ城の観光でした。

最低速度が130キロというアウトバーンを、あっという間に走り抜けていくポルシェに追い越されながら到着したノイシュヴァンシュタイン城は、他に何もない山中に美しく聳え立っていました。


ルードヴィッヒ2世を狂人とみるか、途方もないロマンティストとみるかは見解の相違ですが、私には、ワーグナーおたくであった青年が一国の国王であったために起きた悲劇であるように思われます。

リンダーホーフ城の側の人工の洞窟の中の湖に、ただ一人舟を浮かべてワーグナーを聴いていた姿を思うと、なまじ美しいがゆえに孤独がなお胸に滲みいるような心地がしました。