「ポーの一族」の新作『青のパンドラ』を読みました。
新シリーズになってからは、昔夢中になった「ポーの一族」の世界観とは異なるように感じています。
1970年代の「ポーの一族」は、第三者の目を通した憧憬と人ならぬ気配を感じ取った怖れがそのまま読者の感情に反映されていたように思います。
そして、エドガーの視点になると、時を止めて生きていくことの哀しみや苦しみが胸に訴えかけてきました。
「動と静」「生と死」が混じり、関わって、そしてまた離れていく、それが「ポーの一族」の魅力だったように思います。
長い時を経て再開されたポーの物語は、壮大となり、ファンタジー映画を観ているような感覚があります。
今回の舞台は、紀元前まで遡ったりします。
ストーリーを追うのが精一杯で、感傷が入る余地がありません。
感動の瞬間であるはずの場面も、不穏さしか感じられませんでした。
古くからのファンである私は戸惑いつつ、著者の広がり行く世界観に驚嘆しながら、少しずつ解き明かされて行く「ポーの一族」の謎を追い続けています。
