『ののはな通信』 三浦しをん著
この可愛い癒し系の表紙に騙されたけど、かなり重い内容でした。
面白かったり、退屈だったり、読み辛かったり、考えさせられたり、いろいろな要素が詰まった小説でした。
ミッションの女子高校で出会った2人の少女「のの」と「はな」の往復書簡によって物語が展開して行きます。
毎日会っているのに、友達と手紙をやり取りするのは、昔経験された人も多いのではないかと思います。
私も中学生の頃、「りぼん」や「なかよし」の付録についていたレターセットやシールを使って毎日のように友達と手紙の交換をしていました。
交換日記も流行っていました。
懐かしい思い出です。
ののとはなの関係は、いつしか同性愛に変わって行きます。
LGBTについては個人の自由だと思っているけれど、この小説において、友情でなく、恋愛関係にする必要性がよく理解できませんでした。
第2章においては、2人は大学生になっていて、それぞれの生活の関心事の中に日々が過ぎて行きます。
第3章はそれから約20年後、2人は40代となり、通信手段は、パソコンメールとなります。
これも懐かしい!ポストペットとか利用して、友人とメール交換していたことを思い出します。
ののはライター、はなはアフリカの架空の国の大使夫人となっています。
はなの大使夫人としての生活や、暮らす国がどんどん政情不安になって行く様子にリアリティーを感じて、関心深く読みました。
ただここでも、その逸話は必要なのかと感じる部分もあったり、はなの行動が理解できなかったりしました。
面白く感じる部分もたくさんあったけど、後味のスッキリしない小説でした。
