「いつか」観たい映画リストの一つ『舞踏会の手帖』を観ました。



1937年のフランス映画です。
デュヴィヴィエ監督による白黒映画で、オムニバス映画の最高傑作と言われています。

未亡人になったクリスティーヌ(マリー・ベル)が、20年前に社交界デビューした時の手帖を見つけ、手帖に名前が記されたダンスパートナーを訪ね歩く物語です。

私がこの映画の存在を知ったのは、氷室冴子さんの『蕨ヶ丘物語』の「大正ロマン編」においてでした。
小梅お祖母ちゃまが、昭和13年に観た映画『舞踏会の手帖』を真似て、かつての初恋相手を訪ね歩くコメディです。

そのイメージから、映画も老婦人の物語だと勘違いしていたら、主人公は美貌の若い未亡人でした。
36歳と73歳では、旅の持つ意味もまた変わって来ます。

16歳の時ワルツを踊った男性達を訪ねる旅は、ことごとく夢を砕く無残なものであり、最後に思い出が美化されたものであったという現実を知ります。

「自分の過去を尋ねて、自分の未来を捜す」とと語っていたクリスティーヌ。
ロマンティックな思い出を美しいままに残しておいた方が良かったのか、過去から解放されるために必要なものだったのか。

ラストシーンは、ほっとしながらも寂しさを感じさせられました。