朝から雨が降っています。
晴耕雨読。
『完璧という領域』熊川哲也 著
お誕生日のライブ配信がとても良かったので、改めて熊川哲也さんに興味を持ちました。
本書は、Kバレエカンパニーの設立の時期から始まり、大怪我からリハビリ・完全復帰のこと、先人への思い、ロイヤル時代のこと、創造や表現のこと、Kバレエカンパニーの演目やダンサーのことなどが多岐にわたり書かれています。
ローザンヌでの金賞受賞によりその名を轟かせて以来、ロイヤルバレエでの活躍、突然の退団、Kバレエカンパニーの設立、舞台上での大怪我の衝撃ニュースからの復帰、華やかなダンサー達の登用、たくさんの新作披露など、その活躍はバレエファンなら知らない人はいないでしょう。
映像で観る熊川哲也さんは、いつも自信に溢れていてエネルギッシュで、苦悩など無縁のことのように見えていました。
何もない状態からバレエカンパニーを立ち上げるということが、どれほど大変なことかは推し量ることはできます。
だけど、専用スタジオすらないスタートだったことを知って驚きました。
その中での一枚看板であるご自身の怪我で舞台に立てない時期の様々な思い、創造へ至る道は、読み応えがありました。
第6章「舞台の創造」からは、自伝という枠組を超えて、一人の創造者、芸術家が見ている世界を追体験させてもらっているかのような感覚で大変興味深く読ませてもらいました。
作品の背景、思い入れなどを知って、実際の舞台を観たくなりました。
ダンサーであり、芸術監督であるとともに、経営者、教育者でもあり、ひとところに留まることなく、常に新しい道を模索し続けている姿が、とても魅力的です。
