『盤上に君はもういない』綾崎隼 著

図書館でふと目に入って借りて来ました。

タイトルから苦手なタイプの小説かもしれないとは思ったのだけど・・・
最近「泣かせ」が入るのはダメなんです。

ちょっと警戒しつつ読み始めたら、たちまち惹き込まれました。
『3月のライオン』が好きなので、奨励会のことは多少知ってはいたけど、女性棋士と女流棋士の違いは知りませんでした。
検索してみたら、現在も三段リーグを勝ち上がって棋士となった女性はまだ誕生していないようです。

女性初の棋士を目指す(実際の目標はもっとその先)2人。
そこに天才少年も絡んで、前半の展開がとても面白かったです。
将棋の対局の場面は、棋士が監修している『3月のライオン』に比べると臨場感がなくて少し物足りなかったけど、勝敗の行方は読んでいて力が入りました。

後半のストーリーは、最後の方は読む前にわかってしまったけど、タイトルを目にした時に予想したものとは全く違うものでした。
読み進めて行くうちに「君」が誰なのか、予想がどんどん変化していきました。

書店に並んだ帯には「全員号泣」という文字があったようです。
私は涙は出なかったけど、読後感は良かったです。