第1回(1976年)から第9回(2000年)までの世界バレエフェスティバルの写真集です。
「はじめに」で三浦雅士さんが書かれている文章が強く心に響きました。
「バレエのスターは特別である。音楽にも演劇にもスターはいる。だが、バレエ・ダンサーのように短い期間を凝縮して生きることはない。それはまるで圧縮された生命であり、その分だけ輝き方が違うのである。観客はそこに生命の原型を見る。そしてスター・ダンサーの一刻一瞬のすべてを飲み込もうとする。」
この文章が書かれた2003年に比べるとダンサーの活躍期間は長くなっていると思います。
だけど、その時舞台で踊られるものは、その時だけのものです。
ダンサーも観客も、それをわかっているから、その瞬間が輝くのだと思います。
本書は、前半は演目ごとの写真集になっていて、「ドン・キホーテ」や「ジゼル」や「椿姫」など、同じ演目の異なるペアの写真が掲載されていて素敵です。
後半は、開催年ごとの写真集になっています。
最後に掲載されているプレイバックや公演記録を見ながら楽しみました。(写真がないものもあります)
第1回(1976年)では、マーゴ・フォンテイン(ロミオとジュリエット)、アリシア・アロンソ(白鳥の湖第2幕アダージオ)、マイヤ・プリセツカヤ(ライモンダ、瀕死の白鳥)が揃って出演されていて、もはや伝説です!
第6回(1991年)に坂東玉三郎さんが出演されていたことを知って驚きました!
ジョルジュ・ドンといっしょに「デス・フォー・ライフ」を踊られています。
なぜか写真がありません(ToT)
ジョルジュ・ドンは、ガラで東京バレエ団と「ボレロ」を踊りましたが、これが最後のボレロとなってしまったそうです。
第7回(1994年)は、今回フェリとロマンが踊って話題となった「椅子」をハイデとノイマイヤーが踊っています。
第9回(2000年)は、同じBプロの中で、フェリとマラーホフが「マノン」の寝室のパ・ド・ドゥを踊り、ギエムとニコラ・ル・リッシュが沼地のパ・ド・ドゥを踊っていて、観客はさぞ喜ばれたでしょうね。
他にも世界バレエフェスティバルで踊って、今も語り継がれているダンサーの踊りがたくさん紹介されていて、興味深い写真集でした。
ところで、ダンサー達は、どうやって演目を決めたりパートナーを決めたりしているんでしょうね。
今回の「椅子」は、フェリがロマンに踊ろうと提案したというインタビュー記事を読んで、興味を持ちました(*^^*)
