この小説は、発刊当時話題になったので、読みたいと思ってメモしておいたのに、そのまま忘れていました。
涙香は、「黒岩涙香」のことだそうですが、そもそも、それ誰?でした(^^ゞ
そんな読者のために、かなり詳しく人物説明があります。
「江戸川乱歩や横溝正史よりも古い時代の探偵小説作家」
と聞いても、知らない?でしたが
「巌窟王」「ああ無情」「鉄仮面」などの翻案小説家と聞いて、ようやく、おお!となりました。
私が子供の頃読んだのはもちろん違う作家によるものですが、そのタイトルが使い続けられたのは
「涙香のネーミング・センスがいかに抜群だったか」
ということですね。
その他にも、えっ、あれも、これも涙香なの?と驚くような「遊芸百般」ぶりで、冒頭に出て来た殺人事件は、一体どこに行ったの?と聞きたくなるくらい、かなりの頁を費やして語られます。
もはや涙香研究書ではないかと思ってしまうくらいです。
名探偵、皆を集めてさてと言い
の場面が推理小説のクライマックスでしょうが、私は途中、登場人物によって語られる蘊蓄が好きなので、楽しめました。
殺人事件の推理より、メインは、いろは歌48首に隠された暗号の謎解きです。
いろは歌と言えば、
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす
が、有名でよく知られているけど
いろいろな人が、たくさん作っているんですね。
全然知りませんでした。
本書では、黒岩涙香の万能の天才ぶりが熱く語られているけど、48首、他にも出てくるからもっとたくさんのいろは歌を作った作者の竹本健治さんも、語学の天才!
暗号ミステリーだけど、この謎解きに挑む読者はいるのかな?
私は、いろは歌48首を読むだけで、ギブアップ(^w^)
主人公である牧場智久棋士の解説を楽しみました。
読み終わった感想は、面白かったというより、ひたすら凄いわ~と感心しきりです。

