こんにちは、ランですニコニコ




先日ジュエリーボックスの整理をしたのですが、その片隅から出てきたルビーの指輪を見て、とても懐かしい思い出が蘇りました。



頼りない薄い地金と、欠けてしまった透明感のないルビー。


その指輪を目にすると、私は楽しかった日々と、人間の浅ましさを思い出すのです💍


この指輪の前の持ち主は、私の祖父の姉でした。




祖父には何人か兄弟が居ましたが、相続問題で仲違いしてしまい、お互いにほとんど交流がありませんでした。

稀に親戚の集まりがあっても、お互いに罵り合っているような関係だったらしいです💦




しかし祖父とお姉さんは馬が合ったのか、よく祖父の家に遊びに来て、何時間も談笑していました。


私もよく祖父の家で遊んでいたのですが、お姉さんはいつも訪問の際は、私に可愛いお菓子や絵本などをお土産に持って来てくれましたニコニコ


2人が談笑している横で、幼い私は絵を描いたりして遊んでいたのです。





お姉さんは生涯独身で、独り身でした。

看護師として定年まで働き、大きな病院の婦長にまでなった人です。

優しい人で、「◯◯病院のナイチンゲール」と呼ばれていたこともあったとか🍀




家族の居ないお姉さんは、生活費を除いた給料を頻繁にジュエリーに注ぎ込んでいました💍


幼くて詳細な記憶はありませんが、いつも大きな指輪をしていた印象があります。

ジュエリーを購入することを生き甲斐にしていたのかもしれません。






そんなお姉さんがある時、私の遊び相手をしながら、こう言ったのはなんとなく覚えています。


「おばちゃんは子供がいないから、おばちゃんが死んだら◯◯ちゃんに好きな指輪をあげるよ。どれでも気に入ったのを持って行ってね。」と。


私は子供心に「あんな大きな指輪嵌めれないけどなぁ口笛」などと、思っていました。笑




それから数年後に、お姉さんは癌で亡くなりましたショボーン

施設に入って闘病していましたが、祖父以外の兄妹はお見舞いにすら来なかったようです。




私は断片的な記憶しかないのですが、癌がいよいよ悪化してきた頃だったのでしょうか?お姉さんが祖父の家に来た時に、私の手を取って「おばちゃんはもうダメかもしれないけど、◯◯ちゃんは良い子で元気に頑張っていかないといけないよ。」というような内容のことを言いながら泣いていたのを覚えています。



お姉さんのお葬式なども終わり、形見分けでもしようかと祖父や母達と一緒に、私もお姉さんの入っていた施設へと行きました。


お姉さんがジュエリーを大切にしていたのは皆が知っていたので、それらをどうしようか?部屋の片付けもしないと、などと話していました。





ところがお姉さんの部屋に入って目に飛び込んできたのは、殆ど空っぽになった大きなジュエリーボックスだったのです。




施設の人の話では、既に親戚の人が来て、形見分けをしていったということでした。

お姉さんの闘病中、一度もお見舞いにすら来なかった親戚達です。

私の横で祖父が「欲どおしい奴らだ!」などと憤慨していました。




殆ど空っぽのジュエリーボックスには、壊れたようなアクセサリーが少しだけ残されていました。

そして今、私の手元にあるルビーの指輪も、その中の一つだったのです。


他の古ぼけて壊れたアクセサリーと比べると幾分かマシに見えましたが、大した代物ではありません。




ルビーの指輪を手にした私を見た母が、「◯◯はお姉さんに可愛がってもらってたから、その指輪もらっていったら?」と言ったので、そうすることにしました。



そうして私の元へやってきたのが、この指輪です💎




ジュエリーに興味を持つようになってから顕微鏡で観察してみたのですが、透明感の無い小さなルビーには真ん中に大きな致命的なヒビが入っていました。



ジュエリーとしてはほぼ無価値な指輪ですが、「好きなジュエリーを持っていってね。」と言ってくれたお姉さんの言葉を思い出すと、手放すことはできないのです。




この指輪を眺めていると、祖父とお姉さんと3人で過ごした思い出が蘇ります。

、、、と同時に、お見舞いにすら来ずに好き勝手にジュエリーを持ち去った親戚のことも、、、。



実はお姉さんには歳をとってから結婚話が持ち上がったことがあるのですが、親戚達に良くない噂を吹き込まれて、水に流れたことがあるのですプンプン


生涯独身で看護師だったお姉さんは、遺産がかなりあると思われていたので、夫という相続人を作るのを親戚達が嫌がったのかもしれません。




しかし蓋を開けてみると、かなりジュエリーに散財していたようで、あまり遺産と言えるような遺産はありませんでしたが。


結局はそれでも揉め事が起き、長男だった祖父が施設にほぼ全額寄付しました。それはお姉さんの望みでもあったようです。




しかし、そうまでして手に入れた宝石は美しいのでしょうか?




私は宝石とは、手に入れた経緯や思い出も含めて、美しく感じるものだと思っているのです。

だから奪うように手に入れた身内の宝石を、美しいと思える感覚は理解できません。




ヒビの入った私のルビーはお世辞にも美しいとは言えないでしょうが、これは確かにお姉さんが私に譲ってくれた、世界にたった一つの美しい指輪です。


時々眺めてお姉さんを偲びつつ、人間とは何か、欲望とは何か、幸せとは何か、果たしてお姉さんは幸せだったのか、と様々なことを考えるのです。



もうすぐお姉さんの命日....

祖父のお墓参りと一緒にお姉さんの眠るお墓に、お花を供えてこようと思います☺️