少し下校が遅くなった日、

Sと2人で駅まで歩いていた


その時に私は呼び止められた


ジュンさんの奥さんだった


もう、終わったはずなのに何⁉︎


Sからも「ダレ⁉︎」


すかさず

「前に付き合ってた人の奥さん」

「OCCOばっかだね〜。どうする?

 私、帰ろうか?」

「一緒にいて‼︎1人じゃヤダ‼︎」

こんなやりとりを続ける


奥さんがコツコツとヒールの音を

立てて近づいてきた


今日はSがついでてくれるので

少し強気でいられる


「なんですか?もう、ジュンさん

 とも会ってないし、海にも

 いってないですけど…」

Sを見て少し、言いにくそう


「あっ!この子は今までの事、

 知ってるので大丈夫です」

「そう。ココじゃナンだから

 また、移動しましょう」

「あの、私も一緒について行って

 イイですか?」

「OCCOさんがイイのなら…」

付いてきて〜‼︎1人じゃイヤだ‼︎


また、渋谷まで出る


また帯付きのやつ持って

来たんでしょか⁉︎


手切金さながらの話が続く


「この前も言った通り、お金なんて

 もらう義理ないです!もう、

 待ち伏せるのもやめて

 くれませんか?」

「でも、貴方をジュンさんは

 傷つけたから、コレは私からの

 気持ちなのよ」

「聞いてもイイですか?お姉さんさ、

 浮気されるたびにこんな事

 してんの?アンタが悪いわけじゃ

 ないのに」

「手切金を要求してくる人は

 今まで何人かいたわ。でも、

 そういう人たちってお金で

 割り切れるから傷つきもしないの

 でも、今回の件で、OCCOさんは

 とっても傷ついたでしょ?そのまま

 何もなくって訳にはいかない」

何もなくてイイんですけど…

すみませんね、割り切れない子供で


「でも、こんな大金もらうわけに

 いかないし…」

「じゃあ、もらってくれないなら

 反対に訴えて、慰謝料もらう事に

 しようかしら?」

奥さん、何考えてんだかわからない 

マジなのか冗談なのかもわからん


「ホントにこのお金OCCOに渡す

 つもりなの?受け取った途端、

 脅迫されたとか、言わないよね?」

「そんな下品な事、しないわ!

 お友達はヤケにこういった事に

 慣れてるのね?」

「そうですね、海千山千超えて

 るんで‼︎」

頼もしいぜ‼︎S‼︎


「だったらさ、念書みたいなの

 書いて貰えばイイんじゃないの?」

私も奥さんも??????


Sは

「だっからさ、お金を受け取っても

 訴えたりしないとかそういう事を

 書いといて貰えばイイんだよ」

そういう事なのね


奥さんはバッグの中から今は

ナカナカ見られなくなった

バインダー式のシステム手帳と

万年筆を取り出してかわいい字で 

年初をサラサラと描き始めた


多分、奥さんにしても私のように

本気モードのやつの方がタチが

悪いって事、わかってるのだろう


お金じゃどうにもならないから


ソレなので私も念書じゃないけど

金輪際、ジュンさんとは今までの

ような会い方をしませんって

書かされた


こっちが会いたくもジュンさんは

会いたくなかろうよ


アレよアレよという間に、お金を

受け取ってしまったものの、コレ

どうしたらよかろう…


とにかく、とにかく親にだけは

見つからないようにしないと…