このシリーズ久しぶりです。
はじめての方の為に【双極性II型って?】シリーズを簡単に説明しますと、
双極性障害当事者である私が、たくさん本を読んで得た知識を、みなさんにシェアして、一緒に双極性障害について学んで、波を上手くコントロール出来るようになりましょう、というシリーズです。(当初と目的が変わった 笑)
もし興味を持っていただけたら、こちらからお読みください。
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今回は『認知行動療法』についてです。
実は以前も、認知行動療法については書きました。
しかし残念ながら、リンク先の記事がなくなってしまい、その記事が成立しなくなってしまいました。色んな意味で残念です。
なので今回は、自分で書くことにしました。
と言っても私もそんなに詳しくないのです。
もしかしたら、これは本当の認知行動療法ではないかもしれないしれないですが、とりあえず、自分でやってみて効果があった方法を紹介したいと思います。
その前に、認知行動療法とは何かをざっくり説明しますね。
自分の考え方のクセに気づいて、もっと楽な考え方を身につける方法です。
メンヘラーさんには特徴的な思考があります。
1)思い込み決めつけ:自分が着目している事ことにしか目を向けず、根拠が不十分であるにも関わらず、そうであると信じて疑わないここと。
2)白黒思考:曖昧な状況に耐えきれず、白黒か黒か、0か100か、と極端な考えをしてしまうこと。
3)べき思考:こうすべきだ。あのようにすべきではなかった。と柔軟な考えが出来ず、無理難題を自分に押し付けること。
4)自己批判:全ての失敗は自分の至らなさのせいであると、自分を責めてしまうこと。
こういった考え方から自分を解放する手段が、認知行動療法です。
さてさて、実践。
私がやっていたのは、5コラム法と言われるものです。自分一人で出来ます。
まずは、こんな風にノートに線を引きます。テキトーで大丈夫です。
で、ここに書き込んでいきます。
具体例があった方がわかりやすいと思ったので、今回は「謙虚な私が行方不明で困っています」という過去の記事をベースに書くことにしました。
1)エピソード
自分が不快に思った出来事を出来るだけ詳しく書いていきます。この時に重要なのは、自分の思い込みや推測などを排除して、客観的事実だけを書くことです。
私はこの作業が一番しんどいです。わざわざ不快な出来事を思い出して紙に書きだし、追体験しなくてはいけないからです。でもこれを書かないと先に進めないので頑張って書きます。
工場から「A社に納品する梱包指示をまだもらっていないがどうしますか?」と問い合わせがあった。
私は「通常通りの梱包でお願いします」と伝えた。
10分程後に、A社営業担当のKさんが出先から電話かけてきた。
「A社に納品する梱包指示を、通常梱包と指示したと工場から連絡がありましたが、どうして通常梱包なのですか?それは先方から指示ですか?特別仕様には出来ませんか?」と聞かれる。
「以前頂いた資料は通常梱包でしたので工場にはそう伝えました。特別仕様にする意味はないと思います。」とKさんへ伝えた。
「いちおうA社に確認します。」とKさん。
「では確認が取れたらKさんが直接、工場へ連絡をいれて下さい」と私は言って電話を切った。
2)気分
その状況の結果、自分がどういう感情を抱いたかを%で書きます。
イライラ 85%
むかつく 100%
3)自動思考
自動思考とは、自然と頭に浮かんできた考えのことです。
そのエピソードを、どんな風に受けとって、どんな考えが浮かんできたかを書いていきます。
何故いちいちKさんは、梱包指示まで口出ししてくるのか。
それはデザイナーの仕事なんだから、私に任せるべきだ。
私の確認不足とでも言いたいのか。
そもそも何故、工場は私に確認した後、Kさんに連絡しているんだ。私の事が信用ならないとでも言うのか。
私は間違ったことを言っていない。
あの商品は通常通りで問題ない。特別仕様に出来なくはないが、手間の割りに見栄えが悪い。
わざわざA社へ確認するほどの事でもない。
Kさんのクセに生意気だ。貴様ごときが私に意見するな。
4)合理的思考
ここに自動思考以外の、別の可能性を書いていきます。こう考えた方が合理的で楽だと感じる考え方です。
この部分は慣れていないと難しいかもしれません。
友達から悩みを相談された時に、自分ならどう慰めるかを想像して書くといいかなと思います。
「そんなの気にしすぎだって。別に直接文句を言われたわけじゃないじゃん。ただ相手の機嫌が悪かっただけかもよ。」なんて、他人の悩みには客観的に考えられますよね。その能力を発揮して書いていきましょう。
Kさんは、いつも細かく確認をしてくる。あの人は人一倍心配性だから仕方ないのかもしれない。きっと不安なんだろう。
今回もただ確認したかっただけかもしれない。別に私を責めている訳でないのかもしれない。
おそらく工場はKの携帯に電話したが繋がらず、私に確認をしてきたのではないか?その後、着信履歴を見たKさんが工場に折り返し電話したに違いない。
もしかしたらA社は非常識なので、確認した方がいいのかもしれない。
Kさんが自分で確認して工場へ連絡すると言っているのだから、私は何もしなくて良いし、実害がないので別に構わない。
こんなに些細なことでイライラするのはおかしい。軽躁の仕業なのかもしれない。次の診察で先生に相談しよう。
5)気分の変化
合理的思考を考えた結果、どんな感情が心の中に浮かんでいるのかをまた%で書いていきます。
イライラ 65%
むかつく 50%
大丈夫 60%
仕方ない 45%
表に書き込むと、こんな感じです。
きっと最初の気分と、変化した気分では、後者の方が楽になっていると思います。というか、楽になるまで合理的思考を考えて欲しいです。
そして私の場合、この後「謙虚な私が行方不明で困っています。」という記事を書いています。
その記事では「客観的に分析出来ている」とコメントをもらっています。
その客観性はこういったプロセスを経て得られたものです。
もし私が認知行動療法を身につけていなければ、ただの愚痴(自動思考のみ)を書いた記事になっていたと思います。そのような内容では、読者の方が読んでいてもあまり良い気分ではなかったと思います。
私は、初めてこの5コラム法をやった時に、雷に打たれたような衝撃を受けました。
「今まで苦しんできたのは、私自身が作り上げたフィクションだったの!?別の考え方をすると、こんなにも気持ちが楽になるんだ!!」
と気づいたからです。
だって、数字(%)で違いがわかるから。
それ以来、嫌なことがあると、気持ちが楽になるまで、合理的思考を書き続けることを繰り返していました。
何度も繰り返すうちに、感情的に怒ったり、嫌な気分になったり、落ち込んだりしても、それを反証する考えを導き出すことが容易で、割と短時間で冷静に考えられるようになり、悩み自体が減りました。
ただ双極性に関わる、自力ではどうしようもない波は残っています。でもその双極性の波に追い打ちをかけるような思考は随分と軽減してると思います。
そして最後に、合理的思考を確認する行動を起こします。これをしないと認知療法だけですからね。
後日、Kさんに最終的に梱包をどうしたかを確認します。怒ったままでいるより、話しかけてKさんの態度を確認した方が、私の気持ちが楽だと思ったからです。
やはり通常梱包で大丈夫だったらしい。(当然)
そして更に後日、私がデザインしたA社の商品の売り上げが良かったらしく、金額の報告と共に「ありがとうございます。」と言われました。
全く私を馬鹿にしている様子はなく、逆に感謝されました。
結局、KさんにとってA社との取り引きは、大きな売り上げなので、慎重になっていただけでした。
(実話です)
全てがこんなに上手くいくわけではないけれど、自分が思っているより、相手は深刻に考えていないことが多いです。
結構みんな自分のことしか考えていません。
認知行動療法って名前が難しそうだけど、やってみると意外と簡単で、効果を直ぐに実感出来ます。私は抗うつ薬より、効くと本気で思っています。
あっでも、双極性障害の人は気分安定薬は必要だと思います。それとこれは別の話なので。
何でもそうですが、何かを身につけるには練習が必要です。1回や2回では身につきません。自然と出来るようになるまで何度も繰り返えさないといけません。
やはり努力は必要です。
でも、その努力は必ず自分を良い方向へ導いてくれます。ツラい気持ちが楽になるために、是非身につけて欲しいです。
もし認知行動療法に興味を持てたら、書籍などを読んでみるといいと思います。
合理的思考を生み出すヒントが見つかるかもしれません。
それから、自分一人ではどうしても上手く出来ない場合は、カウンセラーさんによる、認知行動療法を受けてみるのがいいかもしれません。
私が通うクリニックでは、臨床心理士による認知行動療法が受けられます。
自分の通う病院やクリニックで認知行動療法をやっていなくても、主治医が紹介してくれる場合があるので、一度相談してみるのもいいかもしれません。
あとは自分が、認知行動療法に向いているタイプかどうかを主治医に尋ねてみるのもいいと思います。
カウンセラーによる認知行動療法は、自費治療なので少し高額です。相場は10分間で1,000〜1,500円ぐらいなので、50分で5,000円〜7,500円ぐらいが妥当な金額だと思います。
私からアドバイス出来るのはそんなところです。
もし質問があれば、コメントにてお気軽にどうぞ