今回は、心理社会的療法のひとつ、「対人関係社会リズム療法」について書いてみたいと思います。
難しいので、上手く説明出来る自信がありませんが、触りの部分だけ書いてみます。
対人関係社会リズム療法とは
対人関係のストレスを減らしたり、社会的な役割の変化に適応しやすくしたりするための対人関係療法と、社会リズムを規則正しくするための社会リズム療法を組み合わせたものです。
対人関係療法は50年程前に、アメリカでうつ病の治療として開発された精神療法ですが、その後色々な症状に効果があることがわかり、双極性障害に向けに、社会リズム療法を加え修正されたものが、対人関係社会リズム療法です。
日本ではあまり広がりを見せず、まだこの療法を受けられる場所は僅かしかありません。しかも保険適応外でかなり高額です。
ここでは自分で出来る簡単な方法を考えていきましょう。
社会リズム療法
社会リズムは、生活リズムと言った方がわかりやすいかもしれません。起床した時刻、食事をした時刻、その日初めて人と接触した時刻、仕事や学校や家事などを始めた時刻、夕食をとった時刻、就寝した時刻などを記録していきます。
その時に「人の刺激」と「気分」も合わせて記録していきます。
↓例
これは、日常生活を規則的に行うことと、日常活動が気分にどう影響を与えるのかを検討し、自分に最適な生活リズムや、社会との関わりを見つけることが目的です。
双極性障害の場合は、躁にならない為に、過活動を抑える印象が強いかもしれませんが、必要以上に活動を抑制しても、うつ傾向が強くなるという研究結果があり、どの程度の活動量と刺激が、自分の安定に貢献するのかを見つけることが大切です。
対人関係社会リズム療法では、人の刺激が社会リズムの変化に大きな影響を与えるものとして捉えていきます。例えば私の場合は、アメブロでさえも記事を書いた日や、コメントでやり取りをした日は人の刺激があり、ついつい夜眠る時間が遅くなってしまいます。ただ社会リズムが乱れるからといって、ブログを辞める必要もなく、この変化も記録し、振り返って自分に適切なブログとの付き合い方を検討していけばいいのです。例えば、更新回数の見直しや、時間制限を設けるなど。
また季節や月経周期などの変化で、気分がどう左右されるのかも検討し、トラブルが起きそうな時期は、気分が大きく振れる活動を、別の時期にずらすなどの工夫も必要でしょう。
何よりも重要なのは、睡眠リズムです。双極性障害は睡眠リズムの乱れと、気分の波が密接な関係にあります。出来るだけ規則的な睡眠を取れるように工夫してみて下さい。
対人関係療法
対人関係が改善すれば、症状の改善にもつながります。それは対人関係によるストレスそのものが軽減することと、自分一人で闘っていた病が、周囲の人も「一緒に治療をしていこう」と力になってくれることが、大きな励みと支えになるからです。
人はそれぞれ役割が与えられています。例えば私は家では「妻」や「主婦」という役割と共に「双極性障害の患者」という役割もあります。会社では「デザイナー」や「部下」や「先輩」という役割も担っています。
その役割に対する期待がそれぞれにあります。役割期待にズレが生じた時、対人ストレスが生じます。その役割のズレを埋めていく為に、下記の項目を見直していきます。
- 相手に期待している役割は妥当か
- 期待はちゃんと伝わっているか
- 相手はどういう役割なら引き受けられるのだろうか
- 相手が自分に期待しているのは 、本当にそういうことだろうか
- 頼んだら 、違う役割に変えてもらえるだろうか
これを考えるだけでも、頭の中が少しスッキリするかもしれません。認知行動療法にも通じる部分があるのですが、相手が自分に期待していることはコレだと勝手に決めつけて、それが出来ないと不安になったり、怒っている場合もあるかもしれません。
例えば私は主婦として、夫からの期待は「家事をキッチリすること」だと思い、頑張っていたものの思い通りに出来ず、一人でイライラし、夫にも冷たく当たっていたとします。しかし実際には「家事は出来る範囲でいいし、自分も分担するので二人の時間をゆったり過ごしたい。」が夫の期待だったりするのです。その期待は本当に相手の期待なのか、自分の思い込みではないのか、色々な可能性を考えてみましょう。
また、お互いにどういった役割を期待しているのか、その期待は適切なのかを話し合うことも大切です。
自分の気持ちを相手に伝える際のちょっとしたテクニックとして、相手の言動についてよりも、自分がどう感じているかを話す方が上手くいきます。
先程の例では、「(あなたは)何でいつもゴロゴロしてるの⁉︎ちょっとは手伝ってよ!」という言い方をすれば、元々家事をするつもりでも、夫は気分を害して、下手をすれば喧嘩に発展しかねません。そうではなく、「(私は)一人じゃ家事が回らなくて困ってるんだ、ちょっと手伝って欲しいけど、いい?」と、「私」を主語にして話せば、同じ内容でも相手はすんなり受け入れやすいと思います。
こうして役割期待のズレを埋めていきます。一気に全てを話し合う必要はありません。少しずつ自分の気持ちを素直に話していきましょう。また相手の話しもよく聞きましょう。お互いに相手が何を期待するのか、という具体的な理解が深まれば、今まで息苦しかった関係に余裕が生まれてくると思います。双極性障害でも、家族から支えられるだけではなく、自分が家族を支えられる部分を見つけ、互いに支え合う関係が構築出来れば、対人関係はきっと今よりも上手くいくはずです。
まとめ
- 社会リズムを記録して、どんな時にリズムが狂いやすいのか、日常活動がどう気分に影響を与えるのかを振り返り、自分に最適な生活リズムや社会との関わりを見つけましょう。
- 対人関係が上手くいかないと感じた時は、役割期待にズレが生じていないか、見つめ直してみましょう。
すごく簡単ですが、対人関係社会リズム療法の説明は以上です。
伝わったかな?ちょっと心配(笑)
今回は、ほんの一部の僅かな内容しか説明出来ていません。もし興味を持たれた方は、こちらを読んでみて下さいね。
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対人関係療法についてもっと詳しく知りたい方はこちら。ご家族も一緒に読むといいかもしれません。
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