双極性障害と診断されて、どう感じましたか?
もしかすると、うつ病やその他の精神疾患で、良くならないまま長期間治療を続けてきた方は、やっと腑に落ちる病名を聞いてスッキリしたかもしれないですね。私はどちらかと言えばこのタイプでした。
でもやはり、最初はショックで、嫌だと思う気持ちが大きいのではないでしょうか。
自分が双極性障害であることを受け入れるとは、どういうことか少し考えてみたいと思います。
双極性障害と診断されてから、その事実を受け入れて前向きに治療へ取り組めるようになるまで、どんなプロセスがあるのかを、図にしてみました。
長文が苦手な方は、最後の「ところが。」まで読み飛ばしてください。
否認
双極性II型障害と診断されたばかりの時は、まさか自分が双極性障害だなんて信じられず、何かの間違いじゃないか、これはただの性格だ、などと思うかもしれません。
その後は、おそらくネットで双極性障害について調べますよね。そして双極性障害について少し知ります。
でも、そこには結構ショックな内容が書かれています。生涯続く慢性疾患であることや、一生薬を飲み続けなければいけないこと。本来の自分と思っていた姿が、実は軽躁と呼ばれる症状だったこと。自分が精神障害者であること。双極性障害に対する偏見。知れば知る程、双極性障害になった自分が信じられず、否認したい気持ちが強まるかも知れません。
怒り
自分が双極性障害であることを認めなくても、双極性の波は襲ってきます。認めたくはないけど、認めざるを得ません。
例えば、うつ状態で仕事を失ったり、家事や身の回りのことも思うように出来なかったり。軽躁状態で大切な人との関係が壊れたり、散財してしまったり。社会生活が上手く送れません。
双極性障害に対してネガティブなイメージのまま、双極性障害である事実が突きつけらるわけです。逃げ場はありません。そうすると、やり場のない怒りや恨みの感情が湧いてくるのではないでしょうか。
「こんな病気にならなければ、もっと良い人生を歩めたのに」「なんで自分が双極性障害にならなければいけないんだ」「あの時のストレスがなければ双極性障害なんかにならずに済んだのに」などなど。
この時期が一番ツラいかもしれません。
諦め
どんなに否定しても、恨んでも、怒っても、双極性障害という事実は変わりません。
そしていつかきっと、気づくはずです。もう健康だった頃の自分に戻ることは出来ないと。
何がきっかけがかはわかりません。双極性の波を散々繰り返した結果かもしれないし、何もなくともスッと理解するかもしれない。障害を受け入れ前向きに生きる人に影響を受けるかもしれない。自分で双極性障害について調べた結論かもしれないし、誰かからのアドバイスかもしれません。
でもいつかは、健康だったはずの自分に戻ることを諦めます。
とても悲しいことです。大きな喪失感を感じるかもしれません。絶望するかもしれません。でも諦めた途端、フッと心が軽くなり、また新たに歩き始めようと、きっと思えるはずです。
受容
健康だったはずの自分と別れ、双極性障害であることを受け入れた時、ようやく本格的な治療が始まります。
双極性Ⅱ型障害は、薬物治療も大切ですが、『波』をコントロールするには、他の努力も必要になってきます。だから、きちんと双極性障害である事実を受け入れ、自覚を持って治療に取り組むとが、生きやすさに繋がると思います。
ところが。
私も経験しているのですが、一度双極性障害であることを受け入れたにも関わらず、また逆戻りすることがあります。
たとえば、仲のよかった友人の幸せな様子を目にした時。「双極性障害になっていなければ、私だって幸せになれたのに。」と怒りが込み上げてきます。そして友人の幸せを素直に喜べない自分を、好きになれません。
または軽躁状態になった時。「もう治ったかも。そもそも双極性障害じゃなかったかも。」と否認してしまいます。
色んなところに落とし穴があります。でもやがてまた受容への道を歩むはずです。何度も何度も繰り返すかもしれません。でもそれは同じことの繰り返しではなく、螺旋階段のように同じ場所を回っているようで、少しずつ上昇しているのです。繰り返す度に上手く受け入れられると思います。
双極性障害であることを受け入れて、前向きに生きていきましょうましょう。
いつか『波』を上手くコントロール出来るように。
そして、なりたい自分になれるように。