心痛める瞬間 | ☆中国語サロンへようこそ☆

心痛める瞬間

中国という”発展途上国”と付き合っていると、



心を痛める瞬間があります。



まず、中国を発展途上国とは呼ぶことに違和感がある方が



いらっしゃるかもしれません。



新聞では連日中国の景気のよいニュースが流れていますし、



アメリカと並ぶ2大大国になることは誰もが予想している昨今ですから。




社会主義”とは名ばかりの中国は、



お金持ちはとてつもないお金持ちで、



貧乏人はいまだその経済発展の恩恵を受けることなく



その日の生活をするのに精一杯です。



最近は中間層がようやく育ってきていますが、



広い国土ですので、まだまだ格差は歴然と存在しています。







ある程度の格差は”資本主義経済”を標榜する国にとっては仕方のないことですし、



世界を見渡すと、国内に大きな貧富の差を抱える国が



たくさんあり、何も中国だけの問題ではありません。






アメリカだって、ビルゲイツのような大富豪がいるかと思えば、



失業したり、ワーキングプアでその日暮らしの



人たちが山ほどいます。



彼らの中には教育も十分に受けることができず、



身を立てるチャンスを得ることができず、



その格差が固定化しているのが問題です。





そのアメリカで先月末ようやく医療保険改革法案が下院で通過し、



国民皆保険へ向け大きく前進しました。



これは本当に大きな方向転換です。






これまで、アメリカは”保険に入るのも入らないのも自由”



”国に何ら強制されたくない”



との建国以来からの考えから、日本の国民健康保険のような



制度がありませんでした。




民間の保険会社と個々で契約していたわけですが、



この保険料が高く、国民の1/6にあたる3000万人以上の人が



無保険の状態にあります。




私がアメリカにいた2000年当時、



サンホセ周辺シリコンバレーに代表される



ITバブルに沸いていました。




そんな中、カリフォルニア大学の



社会学の授業を受ける機会に恵まれ、



アメリカの貧困層について学んだ私は、



アメリカの光と影を見ました。





”お金がなく、必要な医療が受けられず、



亡くなる人がいる。



十分な教育を受けられず、行く場がなく、



犯罪や麻薬に手を染める人たちがいる。



世界NO1の国の実態がこうなのか”





まさに中国も同じ状況です。



国の医療制度が確立しておらず、



病気になったら、ほぼ自己負担。



都市部で先進的医療を提供できる病院が



増えてきましたが、医療費も大変高く、



農村部に住む人たちは、親戚の人たちから



借金をして、長蛇の列に並び、ようやく医療を受けられるという



現実があります。



家族の誰かが病気になれば、いままでのわずかな蓄えは吹き飛び、



逆に借金を抱えて生きて行かなくてはいかない。



借金をして命が助かればまだいいとして、



必要な医療を諦め、死んでいく家族をなすすべなく見守る家族の



気持ちはどんなものでしょう







このあたりの現状を取材したNHKの激流中国 の再放送をみました。

こういう現実を見るとき、一番心を痛めます。

今中国では国民皆保険に向けて医療体制の改革を進めています。

2009年から2011年の3年間で8,500億元(およそ12兆円)をつぎ込み

国民の90%をカバーすることを目標としており、

2020年には皆保険を目指しています。



日本の医療制度もなんだかんだ言われていますが、



やはり優れているものだと思います。




財政難で将来の医療制度がどうなるか不安ではありますが、



”日本に生れなければ助かったのに”



と子供たちが思うことないように、大人たちが頑張っていきたいと



思っています。