月の影・影の海 上巻


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十二国記初刊。


現代日本で家族や友達、学校―――恙なく暮らしながらもどこか馴染めずに周りに気を使い、衝突することを恐れ、大人しく八方美人でいた陽子。


 「……お探し申し上げました」


そう告げた薄い金髪の男に連れられてきた先は地図に無い国!?
物語は主人公・中嶋陽子が異世界に放り出される形でスタート。

気づいたときには独りきりで、ここが何処なのかも、ケイキが何者なのかもわからない。でも命を狙われている?


…正直あまりにもお約束的だな、と思うもそこから先の陽子の苦労はホントとんでもない(苦笑

 裏切られ、命を狙われ、追われる…そして現れる蒼猿の幻覚。

当初あれほどナヨっちかった陽子がどんどんと変貌していく様が見事。

上下巻の為上巻は荒んだまま救いも無くどん底に落ちていくところで終了。

あの…救いようが無いんですが…;

読み手側にも陽子が何故こんな目にあうのか殆ど補足も無い(だからこそ?発刊分を全部読み終わった後再度読むと、「あの時のアレはこういうことだったのか!」と面白さも倍増なのです)。


 仮にもファンタジー小説だったと思うのですが…ここまでどん底に主人公の精神をいたぶってるものは無いのでは?

話の展開的に盛り上がりには欠けますが、小野主上の文体の素晴らしさ故なのか飽きない。

特に蒼猿との対話シーンはきつい。

傷口に塩を塗りこむような蒼猿の言葉は読み手にもグサグサと突き刺さる。



月の影・影の海 上巻

こんな世界に放り込まれて
ひもじくて切なくて怪我だらけで
もう立ちあがることさえできなくて
それでも帰りたいと、
それだけで歯を食いしばってきたのに。

―――どこに帰るつもりだったのだろう。

それでも陽子は帰りたかったのだ。