昨日は母の日。
一昨年までの母の日は少しのお花と少しのお菓子を贈っていた。
贅沢を嫌う母は誕生日も母の日も私が高価なものを贈ることを嫌がっていた。
「私にお金を使わないで欲しい」
母はいつもそう言って、慎ましい生活を送っていた。
母への贈り物はセール品のニットやダウンコート。本当に高価にならないように、母の気持ちに沿うように贈り物を選んできた。
そんなささやかなプレゼントでさえ勿体無いと、滅多にしない特別なお出掛けにだけ着てくれていた。
日常使い出来るような普段着なのに…
あまりにも遠慮するので、私の自己満足でプレゼントを贈るよりも母の気持ちを大切にする方が喜んでもらえると思うようになって、母の日はお花とお菓子が定番となった。
「わぁ!綺麗やなぁ。好きな色やわ。ありがとう」
「美味しそうなお菓子やわ!少しずつ食べさせてもらうわ」
そう言って、喜んでくれた母。
なんて馬鹿な娘だったんだろう。
誕生日や母の日なんて365日のうちのたった2日のこと。
贈り物などない日常に顔を見せて、何でもない会話をすることの方がどれだけのプレゼントだっただろう。
先日も街中を歩いていると、あちらこちらで母の日の文字。
綺麗なお花を目にすると
「お母さんが好きな色」
美味しそうな焼き菓子を見つけると
「お母さんの好みのお菓子」
母の好みはわかっていたけれど、気持ちはわかっていなかったのだと気が付く。
何もいらない。ただ会いたい。
今の私の気持ちが、母の望んでいたことのように思えてならない。