摂食障害患者にとって、吐いていることはトップシークレットです。


食べないことも内緒ですし、痩せたいという願望すら内緒ですが、


吐いていることはいちばん人に知られたくないことです。


多くの摂食障害患者が家族にもバレないほど巧妙に吐きます。


摂食障害で死んだ私の妹みーちゃんも、


たいへん吐くのが上手く、


トイレにこもっているものの、


苦しそうな声を上げるわけでも、ひどい音を出すわけでもありませんでした。


ただ、


みーちゃんが使った直後のトイレに入ると、


大便でもなく、吐瀉物でもなく、


なんともいえない重々しいにおいがしていたのをおぼえています。


このにおいが独特で、なんともいえません。


普通の人が病気のときに吐いてしまうときの吐瀉物のにおいとは違います。


摂食障害患者は食べた直後に吐くので、


消化が進んだ状態ではないからです。


かなり上手に摂食障害患者本人が隠すので、


だれも気づかないまま嘔吐のクセが進行します。


いっしょに暮らす家族も、


患者のことをわかってるつもりでわかってないのです。