下りの新幹線
土砂降りの雨の中携帯電話の呼び出し音で目が醒めた
とりあえず今すぐ準備して・・・
針路は西へ
今俺は故郷広島に向かう新幹線の中だ
もう何度目だろう
こんな気持ちで新幹線に乗るのは
おじいちゃんやおばあちゃん
親父
そして今朝おふくろが亡くなった
実はもう何年も前に余命三ヶ月と宣告されていたお袋だった
しかしこの人は強かった
本当に強かった
驚異的な生命力で宣告からなんと7年も生き抜いた
まさにそれは奇跡だった
何度も生命の危機から立ち直ってきたが、今回はついに命の炎が消えてしまった
二週間前に叔母から今回はダメだろうと連絡を受けていた
そして一週間前に電話で交わした言葉が最後になった
もう普通のお袋の声じゃなかったし何を言っているのか理解できなかった
そして俺は最後の決断をくだした
延命するより痛み止めを
それからわずか一週間足らずでお袋は天国へ旅立った
果して俺は正しい事をしたのだろうか
自分にとって最後の肉親だったお袋
覚悟していたとはいえきついな
朝5時に連絡を受け東京駅から新幹線に乗ったのは9時30分
4時間以上もマンションから出れなかった
下りの新幹線に乗る事はお袋の死を受け入れる事
あれから4時間間もなく広島だ
東京は土砂降りの雨だったが広島は晴れているよ
悲しい顔や涙はタローには似合わないから
爽やかな笑顔でさよならを言おう
ありがとう
母ちゃん
またいつかどこかで


