30球団通信簿において、ダイヤモンドバックスについては紹介しました。
その他のチームについても掲載しようと思います。
今回はア・リーグ編です。
ニューヨーク・ヤンキース
ア・リーグ東地区1位
99勝63敗 勝率 .611 得失点差 +240 (リーグ1位)
【序盤は快進撃も後半戦の停滞で課題が浮き彫りに】
シーズン序盤戦は驚くほど投打が噛み合い、最初の84試合で61勝23敗、勝率.726の快進撃。コール、コルテスJr.を中心とした先発陣が機能し、ホームズが新クローザーとして台頭した。打線も、記録的なペースで本塁打を量産したジャッジに加えてベテランのカーペンターが意外な猛打を発揮。一時はシーズン116勝のMLB記録更新も喧伝されるほどだった。だが、オールスター前あたりから徐々に失速していく。ホームズやスタントン、カーペンターらの故障に加え、デッドライン・トレードで獲得したベニンテンディ、モンタスも機能せず、シーズン序盤とはまるで別のチームのような停滞ぶりだった。
故障者が続出する中でも獅子奮迅の働きを見せたジャッジの踏ん張りもあって、最後は何とか立て直して3年ぶりの地区優勝。しかし、チーム全体の故障耐性の弱さ、ホームランでしか点が取れない打線、絶対的柱不在のブルペンなどの弱点も浮き彫りになった。
トロント・ブルージェイズ
ア・リーグ東地区2位
92勝70敗 勝率 .562 得失点差 +96 (リーグ3位)
【「映画の本編」のシーズンは投打にちぐはぐで消化不良】
チャップマンやゴーズマンらを補強し、ア・リーグ優勝候補最右翼に挙げる声も少なくなかった。実際、4月は14勝8敗と好スタートを切ったが、その後は一進一退で、気づけばヤンキースの背中は遠のく一方。夏場にはモントーヨ監督が解任された。
得点力リーグ2位と強力打線は健在ながら、主砲のゲレーロJr.はMVP投票2位に入った昨季ほどの爆発力はなく、投手陣ではマノーアとゴーズマン、ストリップリングが好投した一方でベリオス、菊池が大不振と、どこかちぐはぐな状態が続いた。
9月以降は22勝11敗の快進撃でワイルドカード1位を獲得したとはいえ、92勝70敗は昨季から1勝上乗せしただけで、ワイルドカード・シリーズではマリナーズにまさかの連敗。開幕前、ゲレーロJr.は「去年は予告編、今年は映画本編さ」と豪語したが、『スターウォーズ』シリーズのエピソード7~9と同じく、やや評判倒れの本編になってしまった。
タンパベイ・レイズ
ア・リーグ東地区3位
86勝76敗 勝率 .531 得失点差 +52 (リーグ6位)
【投打で故障者続出も“奇跡”の4年連続プレーオフ】
投打に故障者が続出する苦しいシーズンだった。投手ではグラスノーがほぼ全休、期待のバズもヒジ痛で登板6試合のみ。ブルペン事情も苦しく、起用総数は実に40人に達した。野手でもフランコ、ラウ、マーゴ、キアマイアーらが入れ替わり立ち替わり離脱。4年連続のポストシーズン進出は、状況を考えれば奇跡的とすら言えるかもしれない。
特に投手陣は防御率リーグ3位と大健闘。マクラナハンがエース級の活躍、ラスムッセンがそれに続き、平凡なリリーバーだったスプリングスの先発転向もハマった。ブルペンはアダムとフェアバンクスの8セーブが最多と抑え不在でも、防御率リーグ5位とどうにかやり繰りした。しかし野手陣は故障の影響が大きく、得点は昨年の2位から11位まで下降。ラウら長距離砲不在が響き、本塁打はアロザレーナとパレイデスの20本が最多と迫力不足。ワイルドカード・シリーズも計24回で9安打、1点のみで敗れた。
ボルティモア・オリオールズ
ア・リーグ東地区4位
83勝79敗 勝率 .512 得失点差 -14 (リーグ8位)
【新星ラッチマンがチームを牽引してまさかの大躍進】
ファーム組織が充実し、数年後のシンデレラチームとして期待されていたが、一人の新星が再建スケジュールを早めた。開幕直後から5月20日まで16勝24敗の勝率.400だったのが、21日にラッチマンが昇格して正捕手の座を手にして以降は.554。シーズン終盤までワイルドカード争いに残る大健闘を演じた。
昨季との最大の違いは投手陣。エース左腕のミーンズを開幕早々に故障で欠いたにもかかわらず、先発防御率は昨季の5.99→4.35、ブルペンは5.70→3.49と劇的に改善。球団では1992年以来のシーズン15完封(継投を含む)を記録して躍進の原動力となった。
シーズン終盤にはもう一人のトップ・プロスペクト、ヘンダーソンもデビュー。イライアスGMは「積極的なFA補強とトレードを考えている」と来季の総年俸大幅増を明言しており、GMがアストロズ時代にドラフト指名したC・コレア(ツインズ)の名も獲得候補として挙がっている。
ボストン・レッドソックス
ア・リーグ東地区5位
78勝84敗 勝率 .481 得失点差 -52 (リーグ12位)
【不安定な戦いに終始し、強豪揃いの地区で蚊帳の外】
「率直に言って、大きな失望だった」。シーズン終了後のコーラ監督のコメントがすべてを物語る。超激戦区のア・リーグ東地区で唯一負け越し、2012年以降で5度目の地区最下位。とにかく波が激しく、シーズン序盤は低調、6月に20勝6敗の快進撃で地区2位に浮上したと思ったら、7月は8勝19敗と真っ逆さま。そのまま最後まで浮上できなかった。
低迷の最大の要因は、開幕前から不安視されていた投手陣。先発陣はセールが3度の骨折でわずか2登板、イオバルディも故障で柱が不在だった。ブルペンも10セーブ以上の投手が皆無と、最後まで守護神不在に泣いた。
捲土重来を図るブルームCBOは、オプトアウト濃厚のボガーツと、来季終了後にFAとなるデバースとの長期契約をオフの最優先課題と明言。また、先発投手の補強も急務で、S・ビーバー(ガーディアンズ)やB・ウッドラフ(ブルワーズ)らエース級をトレードで狙うとの噂も出ている。
クリーブランド・ガーディアンズ
ア・リーグ中地区1位
92勝70敗 勝率 .568 得失点差 +64 (リーグ5位)
【投手力とスモールボールで接戦を制して地区優勝】
昨季は負け越し、オフも特に補強はなかったが、自分たちの「強み」を生かして4年ぶりの地区優勝を果たした。「強み」の一つは投手力だ。ビーバー、クォントリル、若手のマッケンジーが強力な先発三本柱を形成。規定投球回クリア&防御率3.50以下の先発トリオは30球団唯一で、ブルペンではクラッセが完璧な守護神ぶりでセーブ王に輝いた。
もう一つは「返球がカットオフの上を越えたら次の塁を陥れる。そんな野球をしなくてはならない」とのフランコーナ監督の言葉に象徴されるように、本塁打全盛時代に逆行するスモールボール。チーム三振率18.2%は30球団ベストで、クワンのようにコンタクトが上手く、守備走塁に長けた選手を積極起用し、1点差試合でリーグ最高の勝率.622を残した。
目立った途中補強もなかった代わりに、17人ものルーキーを起用しながら9月以降は24勝10敗でフィニッシュ。球団組織全体の力を見せつけたシーズンだった。
シカゴ・ホワイトソックス
ア・リーグ中地区2位
81勝81敗 勝率 .500 得失点差 -31 (リーグ9位)
【故障者続出と名将の“衰え”でプレーオフを逃す】
2020年に12年ぶりのプレーオフ進出、昨季は地区優勝。当然、今季は「その上」を目指すはずだったが、開幕前にリンが離脱したのを手始めに、ヒメネス、ロバート、アンダーソンと怪我人が続出。特に打線は故障者の影響が深刻で、得点力不足に悩み続けた。77歳で開幕を迎えたラルーサ監督の“衰え”も深刻だった。2ストライクからの敬遠指示失敗、試合中の居眠り疑惑など殿堂入りの名将の面影は完全に消え、地元ファンから「トニーをクビにしろ」コールが出る始末だった。
それでも、新エースに台頭したシースの活躍もあって何とか地区優勝争いにとどまっていたが、9月20日からのホームでのガーディアンズ3連戦に全敗して終戦。結局、勝率5割で終えるのがやっとだった。
新監督はもちろん、守備の改善(DRSは30球団ワースト)、打線の再構築とオフの課題は山積み。ハーンGMも「さまざまな面で改善が必要」と激動のオフを予感させている。
ミネソタ・ツインズ
ア・リーグ中地区3位
78勝84敗 勝率 .481 得失点差 +12 (リーグ7位)
【前半戦首位ターンも、故障者続出で急失速】
「ほろ苦いシーズンだった」とは、昨オフに3年1億530万ドルで加入したコレアの言葉。実に32人がIL入りするなど、シーズンを通して故障禍に悩まされたことを指してのものだが、最終的な戦績についても同じことが言える。前半戦は地区首位でターンしながら、後半戦は28勝40敗、勝率.412と急失速し、結局プレーオフも逃してしまった。
失速の最大の要因は、開幕前から弱点に挙げられていた投手陣。夏の移籍市場でマーリーとロペスを補強したが、いずれも期待通りとはいかず。首位打者のアライズをはじめ、ミランダやゴードンら野手陣には期待以上の成長を見せた選手もいたが、投手陣のマイナスを補うまでには至らなかった。
このオフにはコレアがすでにオプトアウトを表明し、戦力の再編成は必須。課題の投手陣をどう強化するのか、遊撃の穴はどう埋めるのか。攻撃力不足の捕手も補強ポイントで、ファルビー編成総責任者の手腕が注目される。
デトロイト・タイガース
ア・リーグ中地区4位
66勝96敗 勝率 .407 得失点差 -156 (リーグ13位)
【台風の目と期待されながらまさかの低迷】
とにかく誤算続きのシーズンだった。数年にわたる再建期間を経て、2020年ドラフト全体1位指名のトーケルソンのメジャーデビューに合わせてバイエズ、ロドリゲス、メドウズらを補強。ア・リーグ中地区の台風の目に挙げる声もあったが、結果は借金30、白星は再建モードの昨季より11も減った。
トーケルソンがメジャーの壁にぶつかったのはある程度やむを得ないとしても、バイエズとメドウズも揃って不発。1試合平均得点3.44、110本塁打はいずれも30球団ワーストだった。躍進が期待された投手陣も、トミー・ジョン手術のマイズを筆頭に故障者が続出。シーズン中に2度DFAとなったハッチソンがチーム2位の投球回数をこなす有様だった。
8月には不振の責任を問われる形でアビーラGMが解任。後任となった34歳のスコット・ハリス編成総責任者は、カブスやジャイアンツで経験を積んだ新世代派。どのようなチーム作りを指向するのか注目される。
カンザスシティ・ロイヤルズ
ア・リーグ中地区5位
65勝97敗 勝率 .401 得失点差 -170 (リーグ14位)
【ムーア編成総責任者が解任も若手育成路線に成果】
最初の2ヵ月で16勝32敗と大きくつまずき、大方の予想通り最下位に低迷。9月21日には、17年間にわたってチームを率い、2015年には世界一をもたらしたムーア編成総責任者が解任。マシーニー監督も閉幕後に職を解かれた。
得点数リーグワースト4位、防御率はワーストと完全に力不足だったとはいえ、収穫も少なくないシーズンだった。鳴り物入りでメジャーデビューしたウィットJr.が20本塁打&30盗塁といきなり活躍。他にも、パスクアンティーノやメレンデス、プラットなどロイヤルズの伝統とは一線を画した強打の有望株野手が続々メジャーの舞台に登場した。投手陣では、リンチやブーブッチが伸び悩んだ一方で、シンガーがチーム5年ぶり(!)の2ケタ勝利を挙げて新エースに台頭した。
育成部長から編成トップに昇進したピコッロの下でも若手育成路線の継続は変わらないはず。投手陣の底上げも含め、ムーアが築いた土台をどう発展させるか注目される。
ヒューストン・アストロズ
ア・リーグ西地区1位
106勝56敗 勝率 .654 得失点差 +219 (リーグ2位)
【球団史上最高の投手力を武器にリーグ最多106勝】
4月は貯金1で終えたが、5月2日からの11連勝で首位に立つとその後は独走。後半戦の連敗は3試合が一度あっただけで、106勝はリーグ最高、球団記録にあと1勝と迫った。攻撃陣はブラントリーの故障、グリエルの不振といった誤算があっても737得点はリーグ3位。アルトゥーベ、ブレグマンらのベテランとアルバレス、タッカーら若手の力が噛み合い、C・コレアが抜けて不安視されていた遊撃も、ペーニャがしっかり穴埋めした。
それ以上に素晴らしかったのが、防御率リーグ1位の投手力だった。短縮シーズンを除けば球団史上初の2点台(2.90)、WHIP1.09も球団新。バーランダーが大黒柱として力強く復活、バルデスが連続QS記録を樹立すれば、ハビアーも三振を取りまくって、先発で投げたのは8人のみ。950投球回は2番目に多いガーディアンズを43回も上回り、ブルペンの負担を軽くした。投打の完成度の高さは世界一の17年も上回る充実ぶりだった。
シアトル・マリナーズ
ア・リーグ西地区2位
90勝72敗 勝率 .556 得失点差 +67 (リーグ4位)
【若手の躍動で引き寄せた21年ぶりのプレーオフ】
今季の躍進チームとして期待されながら、6月19日時点で借金10。またしても失望の1年になるかと思えた。しかし、7月2日から怒濤の14連勝。2位まで上昇し、最後までその座を死守した。特に終盤戦は劇的な勝利が相次ぎ、最後の8試合でサヨナラ勝ちが4回。9月30日、21年ぶりのポストシーズン進出を決めた試合もサヨナラ本塁打で決着した。
昨季同様に強力ブルペンの存在も大きかったが、目立ったのは若手の力だ。25本塁打&25盗塁を達成した新人王最有力候補のロドリゲスは21歳。27本塁打を放った捕手ラリーは25歳で、チーム最多13勝を挙げたギルバーも同い年。5月に昇格した24歳のカービーは新人離れした制球力、ブルペンでは23歳のムニョスが剛球を武器に打者をねじ伏せた。ディポートGMの補強も的確で、開幕前にスアレス、夏場にはL・カスティーヨを獲得。すべての要素が上手く噛み合い、シアトルの街に久々の熱狂を蘇らせた。
ロサンゼルス・エンジェルス
ア・リーグ西地区3位
73勝89敗 勝率 .451 得失点差 -45 (リーグ11位)
【大谷&トラウト以外の打線が不振で7年連続の負け越し】
またしても、「トラウトと大谷の才能を浪費」する1年になってしまった。序盤戦は快調で、5月16日時点では貯金10で地区首位。ところが25日から悪夢の14連敗を喫し、その間にマッドン監督は解任。ネビンが代行を任されてからも状態は上向かず、7年連続の負け越しは球団ワースト記録に並んでしまった。
一番の原因は貧打で、打率.233、出塁率.297はいずれもDH制導入後では球団ワースト。“トラウタニ”がいたので190本塁打はリーグ6位だったが、OPS.687は11位で、いかに彼らへの依存度が高かったかが分かるだろう。
それに比べれば、投手陣は健闘したほうだ。大谷が絶対的エースの座を確立し、サンドバルも防御率2点台。後半戦はスアレスやデトマーズも安定感を増し、チーム防御率3.77は6位だった。8月以降は30勝30敗で、来季に向けて多少期待は持てたが、大谷のFAまであと1年を切り、球団売却問題も浮上するなど、このオフは忙しくなりそうだ。
テキサス・レンジャーズ
ア・リーグ西地区4位
68勝94敗 勝率 .420 得失点差 -36 (リーグ10位)
【大型補強の甲斐なく低迷し、監督&編成トップが解任】
FA市場でシーガー、シミエンに大枚をはたいたものの、投手力の整備が遅れていて、上位進出は難しいとみられていた。残念ながらその予想は的中。最初の20試合で14敗、5月には勝率5割に戻したものの、その後はまた黒星が先行した。8月半ばにウッドワード監督は解任、数日後には長年編成のトップだったダニエルズも職を失った。
707得点はリーグ5位だったように、打線は決して悪くなかった。大型補強の2人に加え、ガルシア、ロウの4人が25本塁打以上。128盗塁は1位と足を使った攻撃も効果的だった。懸念されていた投手陣も、ブルペンは防御率3.72と頑張っていたが、先発ローテーションは予想以上に好投したペレス以外は合計25勝と打ち込まれた。
オフの課題は明確で、オーナーのレイ・デービスはさらなる大補強のための資金を用意すると明言。ヤング新編成総責任者は「来年は優勝争いに食い込む」ことを目標に掲げている。
オークランド・アスレティックス
ア・リーグ西地区5位
60勝102敗 勝率 .370 得失点差 -202 (リーグ15位)
【“予想通り”のリーグ最多敗戦で本拠地球場には閑古鳥】
M・オルソンやM・チャップマン、C・バシットら、投打の中心選手を大量に放出。苦しい戦いになるのは避けられないとみられていて、事実その通りになった。5~6月は2ヵ月続けて21敗。7月25日~27日に首位アストロズに3タテを食らわせたのが唯一のハイライトで、リーグ最多の102敗を喫した。
とりわけ酷かったのは攻撃陣で、安打・打率・出塁率などは軒並みリーグワースト。打率.216は球団最低記録、.250のマーフィーがチーム最高という有様で、50打席以上でOPS.700を超えたのはマーフィーとブラウンだけだった。オルソンの交換要員として獲得したパチェが不発だったように、期待の若手の台頭もなし。投手陣も軟投派ばかりで、リーグ最多の195本塁打を浴びた。
本拠地リングセントラル・コロシアムは閑古鳥が鳴き、1試合平均の観客動員数は1万人を切る惨状。過去の再建期よりも“どん底感”が強い中、どうチームを立て直すか。