ロックアウトが長引いた影響により、選手名鑑を手に入れる日が遅れてしまいましたが、開幕前に間に合ったので紹介します。
※ スラッガー『2022 MLB選手名鑑』より抜粋。順位の黄色表示はポストシーズン進出。


アメリカン・リーグ


【東部地区】

▽球界最高の最激戦区を勝ち抜くのはどのチーム!?

 4球団が90勝以上を挙げた最激戦区で、今季の地区優勝最右翼に位置すると思われるのはブルージェイズ。45本塁打を放ったマーカス・セミエン退団は痛手でも、マット・チャップマンを獲得して穴埋めに成功。ブラディミール・ゲレーロJr.、ボー・ビシェットのさらなる進化も期待できるとあって、サイ・ヤング賞投手のロビー・レイが抜けた投手陣を力強く援護するはずだ。昨季100勝で地区優勝したレイズは新人王のランディ・アロザレーナ、11年契約を結んだワンダー・フランコに加え、投手にもシェーン・マクラナハン、シェーン・バズら若手のスター候補が次々出現する育成力が強み。スモールマーケット球団の星として今季も優勝争いに加わりそうだ。
 ヤンキースとレッドソックスは、レイズとは比べものにならないくらい財力に恵まれているのに、戦力的には不安を抱える。ヤンキースはコール以外の先発投手が強力とは言い難く、オールスター級が居並ぶ打線も、本塁打は多く出てもつながりが悪い。FA市場の目玉の一人だったトレバー・ストーリーを加えたレッドソックスは、打線はいいとしても、勝ち頭のエデュアルド・ロドリゲスが抜けたローテーションはヤンキース以上に心許ない。110敗したチームにほとんど新顔を加えなかったオリオールズは、粛々と再建を推し進めるだけの年になるだろう。

  順位(AL東)


【中部地区】

▽V2を狙うホワイトソックスが頭一つ抜ける

 昨年の地区覇者ホワイトソックスが頭一つ抜け出している。主要メンバーに大きな変化はなくとも、故障に見舞われたエロイ・ヒメネス、ルイス・ロバート、ヤズマニ・グランダルが故障なく過ごすだけで得点力は大きく向上する。カルロス・ロドンの抜けたローテーションも、豪腕マイケル・コーペックがリリーフから回るので問題なさそうだ。
 それ以外のチームはみな一長一短があって、ホワイトソックスの対抗馬として強力に推せるほどではない。新球団名で再出発するガーディアンズは、ただでさえ不足気味だった攻撃力にてこ入れがなされていない。一方、先発投手陣はエースのシェーン・ビーバーが万全であれば――との条件つきながらリーグ屈指の陣容。昨季後半戦に好投したカル・クォントリルや、トリスタン・マッケンジーにもさらなる成長が見込める。若い投手が育ち始めたタイガースは、FAでハビア・バイエズが加入したが、それでもまだ打線は迫力に欠けていて、スペンサー・トーケルソン、ライリー・グリーンの両ルーキーに期待がかかる。ツインズにはFAの目玉だったカルロス・コレアが加入。バイロン・バクストンが健康なら打線は相当な破壊力を秘めるが、前田健太をトミー・ジョン手術で欠く投手力が課題。戦力的には一枚劣るロイヤルズも、新人王候補のボビー・ウィットJr.次第ではサプライズを起こせるかもしれない。

  順位(AL中)


【西部地区】

▽エンジェルスは主力の健康面がカギ

 今季もアストロズが地区優勝の本命として君臨するだろう。スーパースターのカルロス・コレアが抜けてもなお、得点力は地区随一。投手陣もエースこそ不在ながら大きな穴もなく、よほど故障者が続出でもしない限りポストシーズンを逃すことは考えにくい。「個の力」ではエンジェルスもひけを取らない。合わせて4度のMVPを手にしているマイク・トラウトと大谷翔平に加え、アンソニー・レンドーンに新加入のノア・シンダーガードと錚々たる顔ぶれだ。ただし、大谷以外の3人は昨年故障で欠場し、大谷も怪我が多い。全員が健康に過ごせればプレーオフ進出も可能だが、ただでさえ選手層が薄いだけに、健康面で問題が生じれば一気に下降しかねない脆さもある。
 昨季、18年ぶりに90勝に到達したマリナーズは、サイ・ヤング賞投手のロビー・レイやジェシー・ウィンカー、エウヘニオ・スアレスらを加えて戦力はアップした。もっとも、昨年の得失点差は-51。伸び盛りの若手も多いが、過大な期待を抱くのは禁物かもしれない。レンジャーズはマーカス・セミエン&コリー・シーガーの新二遊間コンビに計5億ドルの高額を投じた。投手力はまだ未整備とあって上位進出は難しそうだが、間違いなく底上げはされている。対照的にアスレティックスは恒例の再建時期に突入。主力の大半を切り売りし、厳しいシーズンになりそうだ。

  順位(AL西)



ナショナル・リーグ


【東部地区】

▽打倒ブレーブスを目指して2球団が大補強を展開

 ワールドチャンピオンのブレーブスをフィリーズとメッツが追う展開が予想される。チームのハート&ソウルだったフレディ・フリーマンが退団したブレーブスは、マット・オルソンをトレードで手に入れ戦力ダウンを最小限にとどめつつ、若返りも成し遂げた。新守護神としてケンリー・ジャンセンも加入。ロナルド・アクーニャJr.がヒザの負傷から無事復帰できれば2連覇への視界は良好になる。
 フィリーズもカイル・シュワーバー、ニック・カステヤノスの加入で打線は破壊力は増したが、もともと難のある守備がさらに悪化した感はある。GMや監督も一新したメッツの補強はそれ以上に派手で、投手ではマックス・シャーザーとクリス・バシット、打線にはスターリング・マーテイらを獲得。昨年不振だったフランシスコ・リンドーアらの働き次第では優勝も夢ではなくなった。
 もっとも、フィリーズもメッツも大補強が必ずしも結果に結びつかない傾向がある。両チームがもたつくようなら、間隙を縫ってサンディ・アルカンタラ、トレバー・ロジャースら若く有能な先発投手が揃っているマーリンズが一気に浮上してもおかしくない。メジャー屈指の強打者ホアン・ソトを擁するナショナルズは、昨夏に投打の主力を次々にトレードで放出。小幅な補強は行っているが戦力層に厚みを欠き、優勝を争えるほどの力はない。

  順位(NL東)


【中部地区】

▽ブルワーズを筆頭に「二強三弱」の構図が明確

 ブルワーズ、カーディナルスの2強と、その他3球団の間には大きな開きがある。サイ・ヤング賞を受賞したコービン・バーンズを中心に、ブランドン・ウッドラフ、フレディ・ペラルタと強力な先発3本柱を擁するブルワーズは、ブルペンもジョシュ・ヘイダーとデビン・ウィリアムズという、これまた球界有数のコンビが控える。攻撃力はクリスチャン・イェリッチが復活しない限り中レベルだが、それでも地区優勝の筆頭候補だ。
 カーディナルスは対照的にポール・ゴールドシュミット、ノーラン・アレナード、タイラー・オニールを主軸とした野手陣は守備面も含めて強固だが、投手力は当てにできる先発が40歳のウェインライトだけ。本来ならエース格のジャック・フラハティは肩の状態が思わしくなく、先発の駒不足が解消されないとブルワーズを抜けそうにはない。鈴木誠也の入団で日本での注目度が上がっているカブスは、投手陣にもマーカス・ストローマンやウェイド・マイリーらも補強。戦える態勢は整いつつあるが、今季は勝率5割到達が精一杯だろう。
 レッズは投打とも主力が次々に抜けて大幅に戦力ダウンした。それよりもさらに酷い状態なのはパイレーツで、若手有望株の宝庫ではあってもメジャーのロースターはまだ穴だらけ。現状では最下位脱出は難しいだろう。

  順位(NL中)


【西部地区】

▽フリーマン加入のドジャースが覇権奪回か

 地区連覇こそ8年で途絶えたものの、今季もドジャースの優位は揺るがない。野手陣はコリー・シーガーが抜けてもフレディ・フリーマンが加入し、昨年は精彩を欠いたムーキー・ベッツとコディ・ベリンジャーが復活すれば問題なし。マックス・シャーザー、ケンリー・ジャンセンが抜け、トレバー・バウアーも復帰の目処が立っていない投手陣に一抹の不安はあるが、いくらでも補強可能な財力と強固なファーム組織を備えているので心配ないだろう。
 球団記録の107勝を挙げてドジャースから地区優勝をさらったジャイアンツは、さすがに昨季が出来すぎだった感は否めない。ケビン・ゴーズマンの穴はカルロス・ロドンで補えても、バスター・ポージーの引退もあって戦力は落ちている。新監督に知将ボブ・メルビンを迎えたパドレスはニック・マルティネス、ロベルト・スアレスなど日本帰りの選手も加えて戦力向上を図っていたが、主砲のフェルナンド・タティースJr.が手首の手術で出遅れ。打線の補強が進んでいなかっただけに、余計に痛い。
 ロッキーズはクリス・ブライアントを獲得するなど意外にやる気を見せているが、スター遊撃手のトレバー・ストーリーが抜けただけに戦力が大きく上昇するとは考えにくい。MLBワーストタイの110敗を喫したダイヤモンドバックスよりは上でも、プレーオフ進出は難しそうだ。

  順位(NL西)


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そして、アリゾナ・ダイヤモンドバックスについては以下のような戦力分析となっている。


▽投打に戦力不足は明白で昨季に続いて苦戦必至か

 昨季は5月に13連敗、6月に球団ワースト記録の17連敗と黒星街道をばく進。MLB新のロード23連敗も記録するなど文字通りどん底のシーズンだった。ギャレン、マーテイなど投打の主力に故障者が続出したのも痛かったが、裏を返せばチーム全体の層が脆弱である事実が改めて浮き彫りとなった。
 現状では投打とも問題だらけで、いいところを探す方が難しい。防御率リーグワーストの投手陣にはセーブ王のメランソンを加えたものの、先発陣は昨季と同じ布陣。ギャレンが健康を維持し、バムガーナーが往年の雄姿をいくらか取り戻したとしても、3番手以降にはあまり期待が持てそうにない。一方、打線は本塁打と盗塁数がいずれもリーグワースト2位。昨季20本塁打以上の打者がゼロと、一発が乱れ飛ぶ今のMLBではかなり異常な事態となっている。守備陣も、DRS-47はMLBワースト3位と低迷。これについてヘイゼンGMは「多くの選手に本来のポジションではないところを守らせすぎた」と語っているが、これも苦しい台所事情ゆえだろう。
 マーテイや身体能力抜群のバーショ、トップ・プロスペクトのトーマスなど優れたタレントもいるが、チーム全体となるとどうしても他球団と見劣りしてしまう。アスレティックスのようなファイヤーセールにはまだ乗り出してないものの、マーテイにはトレードの噂も絶えない。今季も苦しいシーズンになりそうだ。



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