※ スラッガー『2021 MLB選手名鑑』より抜粋
アメリカン・リーグ
【東部地区】
▽三つ巴の争いのカギを握るのは先発投手陣
ヤンキース、レイズ、ブルージェイズによる争いとなりそうだ。リーグ覇者のレイズは、エースのブレイク・スネルだけでなくチャーリー・モートンも退団し、先発投手陣が弱体化。となると打線の援護が必要で、昨年のポストシーズンで大爆発したランディ・アロザレーナがその勢いを持続できるかどうかがカギになる。
ヤンキースはDJ・ラメイヒューの引き留めに成功し、ジャンカルロ・スタントン、アーロン・ジャッジが健康なら打線の破壊力はリーグ随一だ。だが、ゲリット・コール以下の先発投手に不安を抱える。田中将大らが抜けた穴をコリー・クルーバー、ジェイムソン・タイオンで埋めようという算段が成功するか。ブルージェイズも積極的に強化を試み、ジョージ・スプリンガーらを加入させた。ブラディミル・ゲレーロJr.ら若手スター候補が本格開花すれば、ヤンキース以上の打線になる可能性もあるが、投手陣は先発・ブルペンとも頼りない。優勝候補3チームに共通するのは先発陣に不確定要素を抱えている点。途中補強も含め、今後どれだけ陣容を整えられるかが分水嶺になるだろう。
アレックス・コーラ監督が復帰したレッドソックスは、野手はともかく弱点である投手陣の底上げが不十分で、三強に割って入るのは難しいか。再建中のオリオールズは今季も若手育成が最大の優先課題になりそうだ。
【中部地区】
▽ホワイトソックスの戦力はV2のツインズ以上?
昨季に躍進を遂げ、オフにも着実な補強を施したホワイトソックスが地区優勝の本命。MVPのホゼ・アブレイユを軸とした打線は、ルイス・ロバートら若手が成長すればさらに得点力が増す。投手陣も先発にランス・リン、ブルペンにはリアム・ヘンドリクスを加えて万全の態勢となった。一番の不安要素は、久々に現場復帰した老将トニー・ラルーサが選手を掌握できるかどうか。地区2連覇中のツインズも、昨年は故障者が続出して得点力が大幅に低下したが、ミゲル・サノーやジョシュ・ドナルドソンが万全なら相当な破壊力を秘める。投手陣では、名実ともにエースとなった前田健太が昨季の快投を持続できるかもカギになる。
インディアンスはチームの顔でもあったフランシスコ・リンドーアをトレードで放出してファンから批判が殺到。サイ・ヤング賞を受賞したシェーン・ビーバーを中心とした投手陣は依然として質が高く、侮り難いチームではあるが、リーグワースト3位の得点力はさらにダウン。苦戦は免れそうにない。ロイヤルズはカルロス・サンタナやアンドリュー・ベニンテンディらを加えて、地味ながら着実に戦力が向上。素質の高い若手投手も台頭し始めていて、面白い存在になっている。2年連続地区最下位のタイガースも同じく、ケイシー・マイズらの有望株投手の成長によっては、意外に健闘するかもしれない。
【西部地区】
▽大谷の投打にわたる活躍がエンジェルス躍進の条件
ここ数年はアストロズとアスレティックスの二強状態だったが、今年は勢力分布図が変わるかもしれない。アスレティックスはリアム・ヘンドリクス、マーカス・セミエンが抜けて投打で明らかに戦力ダウン。それでも、ゲームを作れる先発が5枚揃っていて、打線もマット・チャップマン&マット・オルソンが故障や不振から復調すれば形になる。アストロズはジョージ・スプリンガーがFAで流出。アレックス・ブレグマン、カルロス・コレアは健在だが、マイナー組織が干上がっていることも含め、数年前と比べて選手層はかなり薄くなった。
両チームの間隙を突くチャンスがあるのがエンジェルス。キーマンとなるのは、投打いずれも大谷翔平だ。打者としてはマイク・トラウト、アンソニー・レンドーンに次ぐ第3の得点源と期待され、投手としても先発陣の一角を占める力はある。二刀流の真価を存分に発揮できれば、チームはダークホース以上の存在になり得るし、逆に昨年のような出来なら上位進出は望めない。ジェームス・パクストン、菊池雄星ら4人の左腕先発を擁するマリナーズは、新人王のカイル・ルイスをはじめ若手有望株が芽を出し始めているけれども、上位争いに食い込むにはまだ時間が必要だろう。レンジャーズは看板のはずの打線が昨季は得点力リーグワーストと低迷。投手力も弱く、最下位は確定的だ。
ナショナル・リーグ
【東部地区】
▽メッツが大補強を展開して激戦は必至
地区3連覇中のブレーブスが今季も優勝候補の筆頭だ。最大の強みは、リーグ2位の得点力を誇る野手陣の充実度。MVPを受賞したフレディ・フリーマン、二冠王のマーセル・オズーナ、伸び盛りのロナルド・アクーニャJr.が並ぶ打線は強力だ。若手中心の投手陣には大ベテランのチャーリー・モートンを獲得。あと1勝及ばなかったリーグ優勝を今年こそ成し遂げる可能性は十分ある。
注目度ではブレーブスを上回るのがメッツだ。大富豪の新オーナーが就任すると、さっそく大補強を展開。フランシスコ・リンドーアを筆頭に新たな戦力を投打に加えた。だが、新任GMが醜聞で解任されるなど、不祥事も含めて常にどこかしら期待を裏切るチームなのも事実。フィリーズも似た部分があって、優れたメンバーがいるのに実力を発揮しきれていない。JT・レアルミュート引き留めには成功したが、崩壊状態だったブルペンをどこまで立て直せるかがカギになりそうだ。
世界一から最下位へ転落したナショナルズは、ジョシュ・ベルとカイル・シュワーバーの加入で攻撃陣を強化。平均33歳の高齢ローテーションが故障することなく持ち堪えれば、V字回復も夢ではない。予想外のプレーオフ復帰を果たしたマーリンズには、快進撃を再現するのは難しそう……という大半の見方を覆す戦いを期待したい。
【中部地区】
▽アレナード獲得のカーディナルスが一歩リード?
補強の進まない球団が多い中、ノーラン・アレナードを獲得したカーディナルスが一歩リードしている。昨年は得点がリーグワースト2位、本塁打は最下位だった貧打線に、本塁打王3回の強打者が加入。ポール・ゴールドシュミットの援護役としても期待でき、さらにはメジャー屈指の守備の名手とあって、チーム本来の強みである守備の強化にもつながる最適の補強となった。
打線が振るわず勝率5割を割ったブルワーズも、クリスチャン・イェリッチが復調し、ロレンゾ・ケインが復帰すれば昨年の二の舞はないはず。攻守のコルテン・ウォンが加入したのも、拙守のケストン・ヒウラの一塁転向と合わせて二重の効果をもたらすに違いない。ブルペンの充実度はリーグ屈指とあって、3年ぶりの地区優勝もあり得る。
ダルビッシュ有、カイル・シュワーバーらが抜けたカブスは、編成総責任者のセオ・エプスティーンも退団し、戦力再構築期に突入。久々にプレーオフ進出を果たしたレッズも、コロナ禍の影響で緊縮財政モードへ。サイ・ヤング賞投手のトレバー・バウアーを引き留められなかった上に、抑えのライセル・イグレシアスも放出した。打率リーグ最下位に沈んだ打線の強化もできず、苦しい状況にある。ただでさえ弱いところへ、投打の柱を売ってしまったパイレーツは、どの球団の眼中にも入っていないだろう。
【西部地区】
▽ドジャース✕パドレスの対決に全世界が注目
王者ドジャースと大補強を敢行したパドレスの争いは、2021年のMLB最大の注目ポイントだ。パドレスは18年にア・リーグのサイ・ヤング賞を受賞したブレイク・スネル、そして昨年ナ・リーグで次点だったダルビッシュ有を相次いでトレードで獲得。先発投手陣はMLB.comからメジャー2位にランクされるまでになった。他にも韓国からキム・ハスンらを加え、総仕上げはフェルナンド・タティースJr.との14年契約。創設初の世界一を全力で目指している。
MLB.comのランキングでパドレスの上を行ったのが、他ならぬドジャースだ。すでに十分な戦力を備えているところへ、サイ・ヤング賞投手のトレバー・バウアー獲得に成功。ムーキー・ベッツとコディ・ベリンジャーのMVPコンビを擁する打線も穴がなく、全30球団で最も充実した陣容を誇っていることは間違いない。
その他の3チームでは、昨季も意外な健闘を見せたジャイアンツの前評判が高い。中堅/ベテラン中心とはいえ投打とも粒揃いの布陣で、第2ワイルドカードなら何とか手が届くかもしれない。ダイヤモンドバックスはザック・ギャレンやケテル・マーテイなど魅力的な選手はいるが、投打とも決め手に欠ける印象が拭えず。ロッキーズはノーラン・アレナードを放出して事実上の再建モード移行。トレバー・ストーリーの放出も時間の問題かもしれない。
---------------------------------------------------
そして、アリゾナ・ダイヤモンドバックスについては以下のような戦力分析となっている。
▽GMは上位浮上に自信も投手陣の不安は解消されず
昨季は投打に不調の選手が多く、4年ぶりの負け越しに加え、6年ぶりの地区最下位に終わった。夏場にはスターリング・マーテイら複数の主力選手を放出したものの、ヘイゼンGMはオフに入って早々に「プレーオフに進出できる陣容は整っている」と断言。だが、オフは目立った補強はほとんどなかった。傍目には戦力が整っているようには見えないが、いずれにしても巻き返しのためには現有戦力の底上げが必須となる。
カルフーン、K.マーテイ、エスコバー、ペラルタの4人は2018~19年のどちらかに30本以上の本塁打を放ち、ウォーカーも19年に29本。彼らが復調すれば、本塁打数リーグワースト2位に終わった昨季の二の舞を回避できる。中でも、キーマンは19年にMVP投票4位に入ったK・マーテイ。現状ではセンターが中心になりそうだが、理想はバーショかロカストロがセンターに定着し、K・マーテイがアーメッドと二遊間コンビを組む布陣だろう。これなら、堅守のセンターラインが完成する。一方、防御率リーグ10位と低迷した投手陣は不安が先に立つ。ローテーションはギャレンが好投を継続し、バムガーナーが盛り返しても3番手以降が弱い。ブルペンも、メジャー契約でシーズン30登板以上経験者はロペスだけだ。
同地区にはドジャースとパドレスがおり、明らかに分が悪い。いくつもの“if”がすべて有利に動かない限り、ワイルドカード獲得も相当に難しいだろう。
---------------------------------------------------
自分はチームのパワーランキングに代表されるような、そこまで悲観的に捉えてはいない。
と思っていた矢先、エース格のギャレンが故障でどうも開幕には間に合わないとの情報がある。離脱期間が長くなれば大きな痛手となる。
ただ、最後に地区優勝したのが2011年。そしてワールドチャンピオンに輝いたのは2001年。下1ケタが「1」の年は良いシーズンで、今季のように前評判が悪い年は健闘するという傾向もプラスに考えていいと思う。