※ スラッガー『2019 MLB選手名鑑』より抜粋
アメリカン・リーグ
【東部地区】
▽ヤンキースの戦力は世界一レッドソックス以上?
ナ・リーグを含む6地区のうち、全5チームの順位が2年続けて変わらなかったのはここだけ。今季も引き続き同じになってもおかしくない。少なくとも「2強・1中・2弱」の構図は続きそうだ。
世界一のレッドソックスからはクローザーのクレイグ・キンブレルが退団したが、ワールドシリーズの優勝メンバーの大半は健在。特にMVPのムーキー・ベッツを筆頭とするイニシャルBの野手4人は、いずれも働き盛りの年齢だ。ヤンキースはジェームズ・パクストンとアダム・オッタビーノを手に入れて投手陣を向上させた。昨季、史上最多の267本塁打を放った重量打線は健在。レッドソックスがブルペンに不安を抱えていることを踏まえて、地区優勝候補の筆頭に挙げる声も少なくない。
ダークホースになりそうなのがレイズだ。昨季は地区3位とはいえ90勝。投手陣はサイ・ヤング賞を獲得したブレイク・スネルと新加入のチャーリー・モートンが両輪となり、彼らが投げない試合はオープナーも駆使して守り勝つ。カギを握るのは打線。無名でも潜在能力の高い打者が複数おり、彼らが一斉に花開けば旋風を巻き起こす可能性も十分ある。
残る2チームは再建へ向けて舵を切った。ブルージェイズのファンはブラディミール・ゲレーロJr.のメジャー昇格を待つ楽しみがあるが、オリオールズのファンは今季もサンドバッグのように叩かれるのを耐えるのみ?
【中部地区】
▽強力先発陣を誇るインディアンスのV4が有力
これまでのような独走はできないかもしれないが、インディアンスが地区4連覇を飾る可能性は高い。懸案のブルペンに補強はなく、フランシスコ・リンドーアはオフの故障で出遅れる。けれども、トレードの噂が出ていたコリー・クルーバーが残留したことで、ローテーションには史上初の200奪三振カルテットが再び並ぶ。リンドーアの欠場が多少長引いても、ペナントレースから脱落することは考えにくい。
他の4チームで、唯一ポストシーズン進出の望みがありそうなのはツインズだ。打線にネルソン・クルーズを加え、投手陣ではマイケル・ピネイダがトミー・ジョン手術からの復活を期す。昨季はともに期待を裏切ったバイロン・バクストンとミゲル・サノーが再ブレイクを果たせば、一昨年のようにワイルドカードが見えてくる。
再建中の3チームのうち、今季中のメジャー昇格が濃厚なイーロイ・ヒメネスらを持つホワイトソックスは一歩先んじている。ただ、獲得を熱望していたマニー・マチャドを逃したのが今後の将来設計を占う上で、どんな影響を及ぼすか。ロイヤルズは走りで楽しませてくれそうだ。ビリー・ハミルトンと契約し、かつての横浜大洋のスーパーカー・トリオを彷彿させる快足3人を揃えた。タイガースの最大のトピックは、ニコラス・カステヤノスの途中放出とその見返りか。将来を担う若手有望株投手たちは、まだしばらくマイナーでの修業が必要だろう。
【西部地区】
▽優勝候補筆頭アストロズは先発3番手以降に不安
両リーグで唯一、過去2年連続で100勝以上を挙げているアストロズが今季も優勝候補の筆頭だろう。ジャスティン・バーランダーとゲリット・コールの両エースは不動。野手陣にはホゼ・アルトゥーベ、アレックス・ブレグマンら“コア・フォー”が揃う。ただ、ダラス・カイケル、チャーリー・モートンを失った先発3番手以降には一抹の不安も残る。対抗馬は昨季、サプライズの快進撃でプレーオフ進出を果たしたアスレティックス。パワフルな打線は変わらず、三塁で球界最高の好守を誇るマット・チャップマン擁する内野の守備陣とブルペンは引き続き磐石だ。あとは先発投手陣の出来次第だろう。有望株左腕ヘスス・ルザードの昇格にも注目が集まる。
レンジャーズとエンジェルスは、アスレティックスを見倣ったわけではないだろうが、投打に複数のベテランを加えた。ただ、エンジェルスは新加入組よりむしろタイラー・スキャッグスやアンドリュー・ヒーニー、そして今季は打者に専念する大谷翔平らの働きがカギになる。レンジャーズは限りなく再建モードに近い状態で、昨季に続いて最下位に低迷する恐れも十分ある。
マリナーズは主力を大量に放出。GMは「リビルド(再建)」ではなく「ステップバック(一歩後退)」と称するが、2001年を最後に遠ざかるポストシーズン返り咲きは来季以降になりそうだ。菊池雄星が好投しても状況は変わらないが、大谷に続く新人王はあり得る。
ナショナル・リーグ
【東部地区】
▽メッツの積極補強で2019年MLB最激戦区に
今季、最も順位を予想しにくいのは間違いなくこのナ・リーグ東地区だろう。マーリンズを除く4チームは、どこがトップに立っても不思議ではない。
昨季、5年ぶりにポストシーズンへ返り咲いたブレーブスは、新人王のロナルド・アクーニャJr.を筆頭とする若手選手が勢いを感じさせる。8月上旬まで地区首位にいたフィリーズも、投打の柱にアーロン・ノラとリース・ホスキンスを擁し、再建を完了させるべくオフに積極的な補強を展開した。ジーン・セグーラやJT・リアルミュートを加え、さらにブライス・ハーパーを入手する可能性もある。GMが代わったメッツは、エドウィン・ディアズとロビンソン・カノーの獲得を皮切りにブルペンと野手陣を整備。サイ・ヤング賞のジェイコブ・デグロムら、先発投手陣はすでに駒が揃っている。ナショナルズは3年ぶりにポストシーズンを逃したが、向かうは再建ではなく再浮上。マックス・シャーザーに次ぐエースとしてパトリック・コービンを迎え、野手陣では昨季のホアン・ソトに続きビクター・ロブレスの飛翔が期待される。
マーリンズは2017年オフのファイヤーセールで生き残った唯一(?)の有力選手リアルミュートを売り払い、今季も最下位は確定的。要注目のプロスペクトがいるわけでもなく、マーリンズ・パークの観客動員数(昨季は約81万人)はさらに落ち込みそうだ。
【中部地区】
▽投打のバランスに勝るカブスが一歩リードか
昨季はカブスとのワンゲーム・プレーオフに勝ったブルワーズがワールドシリーズ進出まであと1勝に迫る躍進。今季もこの2チームを軸に激戦が展開されそうだ。
前年同様、戦力はカブスの方が充実している。オフに目立った補強はなかったが、昨季は故障と不調に見舞われたダルビッシュ有とクリス・ブライアントが万全なら、それだけで戦力向上になる。一方、MVPのクリスチャン・イェリッチを擁するブルワーズには、強打とフレーミングに秀でた捕手のヤズマニ・グランダルが加わったが、先発投手陣が相変わらず心許ない。昨季に引き続き、奪三振マシーンのジョシュ・ヘイダーを軸とするブルペンの働きがカギになりそうだが、勤続疲労も気になるところ。やはり強力な先発投手を補強しておきたい。
一方、ポストシーズンから3年遠ざかるカーディナルスは、ポール・ゴールドシュミットとアンドリュー・ミラーと大物を加えて勝負を懸ける。カブスほどではないとはいえ、投打のバランスの良さはブルワーズに勝る。4年連続最下位のレッズもダークホースとして挙げておきたい。活発なトレードにより、投打ともに戦力アップ。噂されているダラス・カイケル獲得が実現すれば、先発投手陣はこれまでと比べ物にならないほど向上する。
パイレーツは先発投手陣こそ水準以上の力を持つが、得点力に不安を抱える。昨季と同様、勝率5割前後の力はあってもプレーオフ進出となると厳しそうだ。
【西部地区】
▽分厚い選手層を誇るドジャースは王座安泰?
ドジャースが目指すゴールは、地区7連覇ではなく31年ぶりのワールドチャンピオンだ。昨季の地区優勝は163試合目のワンゲーム・プレーオフで勝ち取ったものだが、得失点差+194はリーグダントツ。今季も投打に分厚い布陣を形成している。オフはFA市場で攻守に秀でたAJ・ポロックを補強。先発投手陣はクレイトン・カーショウの神通力に陰りが見えても、新鋭ウォーカー・ビューラーが台頭。遊撃にコリー・シーガーがトミー・ジョン手術から帰ってくるのも心強い。
ワンゲーム・プレーオフでドジャースに敗れ、あと一歩で球団史上初の地区優勝を逃したロッキーズも、戦力は整う。打者天国をホームとすることもあってノーラン・アレナードやトレバー・ストーリーらの打者に目を奪われがちだが、先発投手のカイル・フリーランドとヘルマン・マルケスが大きく成長した。投打のバランスは、ロッキーズとしてはかつてないほど取れている。
他の3チームはポストシーズンに届きそうにないが、事情はそれぞれに異なる。パドレスはうまくいけば、来季が再建完了となる。巨額を投じてマニー・マチャドを獲得したのもその一環だ。ダイヤモンドバックスはポール・ゴールドシュミットを放出し、再建に舵を切ったばかり。主力放出は今後も続くかもしれない。主力の高齢化が進んでいるジャイアンツも、エースのマディソン・バムガーナーを放出して再建モードに入る可能性が高い。
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今年も多くのFA選手の去就が決まらず、この記事もハーパーのPHI移籍が決まる以前のものである。
ただ、Dバックスの低評価は変わらないw
下馬評を覆してほしいけど、厳しいと思う。