ここのところ毎日いい天気に恵まれて心も気分も春本番。

っつーか今日の陽気なんてまるで初夏。

おれは暑いのはわりと好きだからいいんだけど…昼休みに車内で寝るのがちと大変で(以下略)。

まぁ何にしても短いこの時期を楽しみたいもんです。


そんな春好きのおれですが、実は春の夜は苦手というのはあまり知られていない事実。

特に桜が咲き誇る今の時期の夜はあまり好きではない。



春特有の気だるさは好きなんだけど、春の夜の何ともいえない独特の雰囲気が苦手。

粘度が高いような空気が身体にまとわりつくあの感覚。

月も星もぼやけて焦点の合わない世界が広がる夜空。

中でも夜桜が醸し出すあの妖しい雰囲気。

あれが特に苦手。

確かに綺麗なんだけど現実のものではないような感覚になる。

見ていると違う世界に引き込まれそうな恐怖にも似た感覚。

そのたびに思うんだよな。

本当に桜の木の下には死体が埋まっているんじゃないかと。


だからおれは夜桜は見に行かない。

記憶にある限りでは今までの人生で一度もないと思う。

わざわざ夜桜を見に繰り出すなんていうことは考えられないわけで。

夜桜の下で酒盛りをやっているやつの気が知れない。

気が狂いそうにならないのかな、といつも思う。


それでもやっぱりときには春の夜の妖しい雰囲気に惹かれることもあるわけで。

そんなときは家の窓からこっそりと桜の木を眺める。

春の生暖かい夜風が頬を撫でるだけで心はすでに別世界。

夢と現を行きつ戻りつ。

ほんの束の間、そんな春の世界に浸る。

それはちょっと自虐にも似た行為。

そんな楽しみ方もある。




予報では明日は雨。

桜はほとんど散ってしまうんだろう。

そうなればもうあの妖しい雰囲気は消えてなくなる。

それがちょっと嬉しかったり淋しかったり。