トントントン・・・

サラダ用のキャベツを刻む。
私はキャベツの千切りが好きだ。
食べるのも、刻むのも。

1/4ほどを残してラップに包み、アイボリーの壁にかかった
時計を見つめた。

相方が会社帰りに連れて帰った電波時計。
家にひとつ、絶対的に正確な時計が欲しいといって買ってきた。
説明書によると

「長波標準時刻電波による時刻電波から時刻情報を解読し、
  自動受信機能により、一日14回の自動時刻修正を行う・・・」

らしい。しかもその誤差は月差±20秒。

・・・そういえば、以前なんとなく違和感を感じてこの時計を見あげると、
長針と短針がスーッと音もなく動き、ある位置でピタッと止まったので
ぎょっとした記憶がある。

違和感。そうだ、違和感を感じた。

時計は流れるように動くものじゃない。
コチ、コチ、コチ、と、時を刻むもの。
たとえそれが10分進んでいるとしても。
それが私の時計。


時は常に流れている。停まる事は許されていない。
だけど。
私は時間を”刻み”たい。
刻む、この感触。刻む、手応えが欲しい。


このキャベツのようにね。




by aki