α-シクロデキストリン 環状オリゴ糖などと呼ばれる難消化性デキストリンの一種

 

 α-シクロデキストリンは完全な対称性をもつ美しい構造をしている。このような全方向に偏りがない平面構造をしている物質は立体構造を取り得るのであろうか?

 

 デオキシリボ核酸(DNA)は、2本のポリヌクレオチド鎖が互いに巻きついて二重らせんを形成しているポリマーであり強固に結びついたヌクレオチドが右螺旋構造を形成している。デオキシリボ核酸を構成している個々のヌクレオチドはある意味に於いて左右のバランスが崩れた非対称的な構造をしている。しかし、平面的にはバランスが悪い筈のヌクレオチドではありますが、いったん、立体構造になってしまえば強固に結びついた二重螺旋構造が形成されるのだ。

 

 デオキシリボ核酸を構成しているヌクレオチドは平面的には非対称的でバランスが悪いのですが、このバランスの悪さは立体構造を作る上では役に立つ存在であり、突起部が連結装置の役目をしていると考えれば納得できる。では、平面的に完全対称のα-シクロデキストリンは如何であろうか?

 

 生体高分子の特異性としての弱い親和力にcH/π相互作用がある。これは、近接したタンパク質を自己組織化する作用源として注目されている。この作用は、弱い親和力なのでデオキシリボ核酸を構成しているヌクレオチドを結合するような強い力ではない。このような弱い親和力で結び付いている生体高分子のナノチューブにはシナプスがある。神経細胞同士が連絡を取り合う場合には、シナプスを経由する必要が有り、神経ネットワークの導線の役割をしている。

 

 神経細胞とシナプスでは、生体高分子の特性が大きく異なっている。神経細胞は、安定した強い結合状態で立体構造になるのに対して、シナプスは弱く結合した立体構造であると言える。

 

 iPS細胞の培養では、未分化の細胞が残る事によって移植の妨げになっている。但し、大きく前進している研究開発パイプラインもあり、それが、神経細胞のiPS細胞になる。

 

 神経細胞はシナプスが機能しなければ使い物にならないが、シナプスは絶えず成長と消耗を繰り返しており常に変化している。このような変化しやすい生体高分子の特性とiPS細胞は相性が良いのかも知れません。

 

 cH/π相互作用は、単位当たりの結合力は小さいが、生体高分子に於ける多重の親和性によりダイナミックな相互作用で結び付いている。