「緋色の野獣」とは、黙示録17章3節にある「赤い獣」(口語訳)のことであり、終わりの時に生きている私たちの命に、最も重大な影響を及ぼすサタンの働きです。

 

龍(サタン)は自分の力と位と大いなる権威とを、この獣に与えた。(黙示13:2)

 

13章の獣と17章の獣は、共に「七つの頭」と「十本の角」を持つ、同じ獣であることは明らかです。

 

わたしはまた、一匹の獣が海から上って来るのを見た。それには角が十本頭が七つあり、それらの角には十の冠があって、頭には神を汚す名がついていた。(黙示13:1)

 

わたしは、そこでひとりの女が赤い獣に乗っているのを見た。その獣は神を汚すかずかずの名でおおわれ、また、それに七つの頭と十の角とがあった。(黙示17:3)

 

さらにこの獣は、ダニエル書に登場する四つの獣の、「第四の獣」であることは、信仰上の立場を問わず、多くの学者が認めるところです。

 

 ダニエルは述べて言った、「わたしは夜の幻のうちに見た。見よ、天の四方からの風が大海をかきたてると、四つの大きな獣が海からあがってきた。その形は、おのおの異なり、 第一のものは、ししのようで、…第二の獣は熊のようであった。…その後わたしが見たのは、ひょうのような獣で、…その後わたしが夜の幻のうちに見た第四の獣は、恐ろしい、ものすごい、非常に強いもので、大きな鉄の歯があり、食らい、かつ、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。これは、その前に出たすべての獣と違って、十の角を持っていた。(ダニエル7:2-7抜粋)

 

第一の獣はバビロンであり、第二はメディア・ペルシャ、そして第三はギリシャであることは、ダニエル書自身が解説しており、従って第四の獣がローマ帝国であることは、歴史の事実から確定されます。ダニエル7章には、この第四の獣が、神の国によって滅ぼされる様子が繰り返し述べられています。この一連の王国の推移は、ダニエル2章にある、ネブカデネザル王の見た夢とその解き明かしとも、完全に一致します。

 

 あなたの見た獣は、昔はいたが、今はおらず、そして、やがて底知れぬ所から上ってきて、ついには滅びに至るものである。(黙示17:8)

 

従って、神の国がまだ到来していない現在は、第四の獣が支配している時代であり、ローマ帝国の支配者の影響が、色濃く反映されている時代であると理解することができます。緋色の野獣は、現在も表舞台で活動しているのです。