代替エネルギーの本命はバイオ?それとも原子力?←ほんとははどうなのよ! | バイオエタノールあれこれ

代替エネルギーの本命はバイオ?それとも原子力?←ほんとははどうなのよ!

こちらは、日経BP社サイトより。
鉄腕アトムが生まれ、アトムの妹分はウランちゃん。
21世紀には、核融合技術が確立し、人工太陽が生まれると期待された。

しかし、そこに至る前に、核分裂によるエネルギー生産技術が世界に広がり、核爆弾と背中合わせのすれすれの状況でエネルギーを消費している。


代替エネルギーではなく、持続可能な、再生産可能なエネルギーの本命は何なのか?
この文章が何を提起してくれるのか?

少し立ち止まって、これを読んで頂けませんか?
みなさんは、いつものご自身の生活からエネルギーを考えることなく、お子様がいらっしゃる方々は自分の子供たち、そして孫の世代。あるいは、まだ見ぬこれから生まれるであろうご自身の子孫に向けて、少し地球を上空から、宇宙から眺める気持ちで読んでみて下さい。

あなたには、正解に映りますか?
それとも・・・

http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20081208/118140/
※情報元URLを掲載しておきますが、サイトによっては、上記URLが既に消えている場合もありますので、同時にそのコピーを掲載します。

(以下、コピー)
バイオ燃料の課題

 化石エネルギーの代替としてバイオ燃料が関心を集めている。話題の主役である非在来型バイオマス燃料は、エタノールと脂肪酸のメチルエステルの二つで、いわゆるバイオエタノールとバイオディーゼルである。
 これらが化石エネルギーに代わって普及するためには、以下の三つの課題を解決する必要がある。

食料との競合
生産量
環境影響や労働条件などの社会的影響

 自明のことだが、食料と競合するようなエネルギーの大量利用は不可能である。そもそも、世界中の穀物を全部エタノールに換えたとしても、全エネルギー需要の4~5%にしかならない。
 次に量であるが、現在、非在来型バイオマスエネルギーが全エネルギー利用に占める割合は約0.2%だが、これを一桁上げて2%にしようとしたら、単純に、現在の農地面積を一桁分増やさなければならない。バイオエタノールへの依存度が高くなればなるほど、膨大な農地が必要になる。そうなれば、森林を農地へ転換することによる自然破壊や生態系への打撃、生産者の労働条件などの社会経済的な問題も起こってくるだろう。それでも、2%では化石エネルギーを代替するとは言えない。
 現在は、ブラジルのように人力や畜力、農業廃棄物をエネルギー源とする、いわば前近代的な農業と工業でエタノールを生産している場合は、化石燃料の消費が小さく二酸化炭素(CO2)排出の低減に貢献する。しかし、効率が悪い。今後、もしエタノールの需要が増えれば、効率よく生産するために化石燃料を投入することになる可能性が高い。なぜなら、前近代的農業の一人あたりのGDP(国内総生産)は工業国に比べ圧倒的に小さく、経済性を上げようとすれば、化石エネルギーの大量投与による近代的大規模農業にならざるを得なくなる。そうなれば、カーボンニュートラルには程遠くなり、米国のトウモロコシのように、CO2削減に貢献する要素はほとんどなくなる。農業や林業の実態を知ったうえで議論すべき問題である。


 バイオマス資源のうちセルロース系は食料との競合が小さいが、資源が広い地域に薄く分布している。それを集めて分離精製し、エタノール発酵用のセルロース原料にする際に多くのエネルギーが必要になる。また、エタノール発酵のプロセスは、現状では、生産速度が非常に遅く、収率も悪いので、廃棄物も大量に出る。
 セルロース系バイオマスは、代替エネルギーとして期待できないわけではないが、海水中のウランと似たような状況である。現在の技術が少々進歩しても、生産が20年後に商業ベースに乗るとは考えにくい。今は、この状況を打開できるような技術革新をめざして、研究開発を着実に進めていくことが大事であろう。


新エネルギーの評価

 新エネルギーに分類されている技術としては、バイオマスに加えて前編で取り上げた太陽光や風力などもある。さらには、小規模水力発電や海洋エネルギー発電があり、これらは温度差や波の力、水の流れなどをエネルギー源とする。
 このうち、小規模水力発電はメリットもあるが、大量のエネルギーを供給することは難しい。水車を回して電気を起こすとか、水車で脱穀をするなど、小規模での利用のように、地産地消で完結する範囲では有効な場合もあると思うが、石油換算110億tの総エネルギー消費量に比較して、新エネルギーによる代替を論じる場合には、このような小規模の仕組みでは明らかに荷が重い。一方の海洋エネルギー発電は、今までのアセスメントを見る限り、プラス要因はあまりなく、経済性はないと言わざるを得ない。
 このほかにも、宇宙空間に太陽電池パネルを広げてマイクロ波などで送電するという太陽光発電のアイデアもある。不可能ではないと言われているが、コア技術のほかに周辺技術が成熟し、総合的な技術として現実性を帯びてから評価して、採用するかどうかを判断してほしいと思う。現在の段階では、実験室レベルの技術でありアイデアの域を出ているとはいえない。


 人間は、膨大なエネルギーを使っている。古代の自給自足の生活と比べると、一人あたり100倍近いエネルギー量になるだろう。現在の化石資源に代わる新しいエネルギー源を見い出し、需要に耐える量を生産する技術を開発し、商業ベースに乗せていくことは、簡単なことではない。琵琶湖の水をひしゃくで汲み出すような方法では、とても追いつかない。
 無論、実験レベルでの検証を重ね、技術開発を続ける必要はある。しかし、新エネルギーに限らないが、研究レベルを超えて実用・産業レベルに至るまでには、技術的な課題以外にも、いくつものハードルを乗り越えなければならない。筋が良く見込みのある技術を早い時期で選別して、その開発に完成時期、つまり時間軸を正しく設定して注力すべきである。


原子力の可能性と問題点

 温室効果ガスをほとんど排出しないという点で、原子力エネルギーが見直されている。原子力発電は新エネルギーと違って、現在でも全エネルギーのうち約10%を担い、商業ベースにも乗っている。それゆえ、代替エネルギーとしての優先順位は非常に高い。
 原子力利用を増やすには、放射性物質の漏洩に対する安全性の確保と、燃料の再処理サイクル技術をいかに完成させるかにかかっている。しかし、供給量を考えると、他の新エネルギーなどに比べて原子力発電の可能性は数段高い。

 問題は、社会的受容性である。新潟県中越沖地震では想定以上の強さの地震が起きた結果、想定外の故障やトラブルがあったのは事実。しかし、大きな問題は発生せず、肝心の原子炉自体は安全に停止した。このような事実と結果を生かし、そのことを社会が共通に認識するための努力をしつつ、より安全で安心できる技術へと高めていけばいいのではないかと思う。
 むしろ、危惧されるのは、途上国で安全性を十分に考えないで原子力発電設備をつくった場合にどうなるかということである。原子力の平和利用に関する認識や安全に対する技術を十分に持たない国までが、原子力発電施設を持つことで引き起こしかねない安全の問題は、これから大きくなってくると思う。

 翻って日本も、健全な利用状況にあるとは言えない。「公共のための必要性は理解できるが、自分の家の近くにはあってほしくない」という感情を「ニンビー(NIMBY: Not In My Back Yard)」ということがあるが、この感情を払しょくするほどに原子力発電が信頼されているとは言い難い。
 事故に対する不安は、安全性への信頼が持てない限り払拭できない。企業側は社会的な許容性を高めるための努力と、技術開発の努力をしているのだろうが、十分とは言えないように思う。他方、市民やマスコミ、企業、行政のいずれもが過敏になりすぎているようにも見える。交通工学の先生から、国鉄時代の出来事として聞いた話だが、かつて列車事故があった際に、事故を起こした列車の車掌と国鉄本部との連絡が、スイッチの押し間違いで乗客に筒抜けになったことがあったという。本来、官僚的な体質で公式発表まで外には情報を漏らさないはずだったのが、実情が本音でかつリアルタイムで語られた。そのため、かえって、乗客は状況を理解し、安心できて、その結果、苦情も少なかったという。

 情報を常にオープンにして議論しながら、共通の議論の場を設けるようになれば、社会との関係ももっと健全になるだろうし、安全性の認識もかえって高まるのではないだろうか。
(以上、コピー)

御園生誠(みそのう まこと)先生の上記文では、結局原子力を受入れよということなのだろうか?
バイオマスエネルギーについては、『今は、この状況を打開できるような技術革新をめざして、研究開発を着実に進めていくことが大事であろう。』と結んだ。原子力についてはいかがであろうか?これは技術的に確立されたものなのか?

如何にも、産業界はそれが確実で現実的なビジョンであるかの様に見せるが、どうも私自身は疑わしく考えている。結局、一般市民には分かり難いところは隠され、人や社会の犠牲の上に成立ち、商業ベースで日々大規模な実験が繰返されている様にしか見えない。

それだけではない。
原子力は、同時に後世にツケを残す廃棄物も作り出している。
これでいいのか?

20世紀社会は、大量生産、大量消費で、そのツケを、貧困層に負担を強いて来た。
廃棄物処理は、今や環境の分野で非常に興味を持たれる世界になって来たが、そこまで支えて来た社会基盤があってこそである。あるいは、開発途上国にツケが回っていないだろうか?

ウランの精製はどうだ?
核燃料廃棄物の受入れはどうだ?

今一度、少し立ち止まって、一緒に考えて頂けませんか?
みなさんは、いつものご自身の生活からエネルギーを考えるのではなく、お子様がいらっしゃる方々は自分の子供たち、そして孫の世代。あるいは、まだ見ぬこれから生まれるであろうご自身の子孫に向けて、少し地球を上空から、宇宙から眺める気持ちで読んでみて下さい。

あなたには、正解に映りますか?
それとも・・・