大災害が起こると言われると、日本の方はその大変さをとてもリアルに実感すると思う、それは311を経験しているから。それが故に、今回大災害が起こると予言されていた7月5日に何も起こらなかった事で、人々は日々の何気ない幸せを改めて心から実感し、改めて感謝する様になったと思う。

 

家族がみな無事である幸せ。朝起きてコーヒーを飲む幸せ。トイレに行って水が流せる幸せ。心地よい良い布団で寝る事ができる幸せ。

 

私は2009年からバリ島に住んでいるので、311は経験していないのだけど、311を通して「日本人は違う」と実感した事があります。「日本は特別」、「日本人が世界を救う」などと言われたりしますが、そう言っているのは日本人だけなのかなと思ったり、いや、そうとも言い切れないとも思うのです。

 

311から数年後、友人が日本からバリ島に遊びにやってきました。彼女が宿泊するプールの脇で何気なく話していた時に、311の話題となりました。彼女は当時東京にいたようで、その時の状況を話してくれたのですが、話す時に涙を流しながら話すのです。自分や家族が被害にあったという訳ではなく、見知らぬ土地の見知らぬ方々が大変な思いをされた、その方々を想っての涙です。もう数年も経っているのに。これに私は大きな衝撃を受けました。本当に心から悲しんでいる涙でした。これは、彼女が特別に情緒深いとか、感情移入しやすいとかそういう事ではなく、日本全体が彼女と同じ気持ちであるように感じました。何故かというと、彼女はもう少し早くバリに来たかったけど、311後しばらくは旅行をするような空気ではなかった、自分だけ楽しむのは気が引けたというのです。これには本当に衝撃を受けました。

 

こんな事は他の国では絶対ないと思うのです。自国の中で災害が起き、たくさんの被害が出たとしても、日本以外の国であれば大抵すぐに忘れ去られてしまい、優しい人であればお金を送るくらいで、それで終わってしまうでしょう。私が今住むインドネシアの人々は心優しい国民ですが、おそらく同じ国で大きな被害があったとして、同じ国の人であっても、見知らぬ方々の為に涙を流したり、活動を自粛したりする事はしないと思います。

 

日本人が持っているのは、「優しさとか、思いやり」以上の何かなのですよね。言葉で表すとしたら「共感力」と言うのでしょうか。国全体が同じ気持ちになれる程、個々の人々に共感力がある国って日本以外にはない気がします。日本にいると当たり前すぎてあまり分からないと思うのですが。例えば、財布を落としたら、誰かが拾って渡してくれるとか、交番に届けてくれるなんて日本では当たり前かもしれませんが、他の国ではちょっと考えられないし、異常事態くらいに珍しい事だと思う。日本人は、財布を落とした人の困った気持ちに心から共感できるから、すぐに落とした本人に渡したり、交番に届ける事ができるのですよね。国によっては、持ち主の手を離れた瞬間から、それは誰しもに獲得する権利があるものに変わってしまうという国もありますから。自分には関係のない相手を想い、共感する事ができるって、スピリチュアル界隈では「ワンネス/一体意識」って言われていると思うのですが、日本人って既に「ワンネス」獲得しているって事なのでしょうか。

 

そう考えると、日本人ってやっぱり何か違うかも、やっぱり特別だって思えるのですよね。

これから世界が、今以上にヒッチャカメッチャカになった際、この日本の一体意識が何かしらの形で「世界の見本」となるとしたら、それは十分にあり得る事なのではないかと想った次第です。日本人って控えめだし、自信なさそうにするけど、ぜひ特別であると自信を持って欲しい。だからと言って、何か特別な事をしなければならないとかではなく、日本人がそう「ある」事自体が特別で重要なのです。