最近、日本を訪れる外国人観光客の多くが
アニメに興味を持っていると聞いて、
「日本人として、もっとちゃんと
アニメ文化を知っておきたいな」
と思ったのがきっかけで、
少しずつアニメや漫画を見るようになりました。
今では、英語で漫画を読んだり、
Netflixでアニメを観たりするのが、
毎日のちょっとした楽しみになっています。
さて、今朝観ていたのは『チ。』という作品です。
『チ。』は15世紀のヨーロッパが舞台で、
当時“異端”とされていた「地動説」をめぐり、
命をかけて研究を引き継いだ無名の人々の物語です。
物語ははじめから重く、拷問シーンも多くて、
「うわ、最後まで観られるかな……」と思ったのですが、
現代を生きる私たちにも通じる大切なメッセージが込められていて、
どんどん引き込まれていきました。
(拷問シーンのときは目を閉じて、耳を塞ぎながら……)
※少しネタバレを含むので、ご注意くださいね。
今回観たのは第13〜14話。
“オグジー”という
とても印象的なキャラクターが登場します。
オグジーは、幼い頃に神父から
「地球は罪深い場所だ」と教えられたことで、
とても内気でネガティブな性格になってしまった青年です。
読み書きもできず、教養もなく、
代闘士として安い賃金で戦うだけの毎日。
現実の世界に喜びは見出せず、
「死後の天国だけが救い」だと思い込んで生きていました。
そんな彼が、星に夢中な先輩や、
命を懸けて「地動説」を追う仲間たちに出会い、
その研究に関わる中で、少しずつ“
自分の人生”を生き始めるようになります。
第13話は、彼らの研究が異端審問官に知られ、
拷問を受ける直前の、
オグジーの夢のシーンから始まります。
夢の中でオグジーは大学生。
「地動説」を自由に語ることが許される世界にいて、
司祭から「なぜ研究をしようと思ったのか」と尋ねられます。
オグジーは「この世に期待するため」と答えるのですが、
司祭はこう言います。
「君は、本当はもっと大きな理念に突き動かされている。
人は生まれながらに“それ”に憧れ、求めるようにできている。
そして“それ”を追い求めることこそが、人間の数少ない尊さなんだ。」
“それ”とは何なのか。
オグジーは、死の直前、自ら答えにたどり着きます。
それは――
「自由」
でした。
「じっと善良に生きていれば天国に行ける」と信じ込み、
疑問すら抱かず、生きることをただ耐えていたオグジーが、
なんと言われようと、
そしてそれがどんなに危険だろうと
文字を学び、本を書き、
“異端”の研究を手伝う。
その一つ一つの行動が、彼自身をこの世界の束縛から
少しずつ解き放っていたのです。
そして、最期の瞬間、彼はこう言い切ります。
「私たちは地獄の入り口にいるんじゃない。
天界の入り口にいるんだ」と。
当時のキリスト教の世界で「異端」として処刑された者は
当然地獄に行くものだと思われていました。
でも、「地獄ではなく天界の入り口にいる」
と言いきるオグジーの姿には、
彼が本当に求めていた“自由”を
ついに手にしたような強さがありました。
今の私たちが生きる時代は、
オグジーの時代よりはるかに“自由”に見えます。
感想何を考えるべきかを
知らないうちに大きな力にコントロールされてしまい
生を生きる「自由」を謳歌できていません。
そのことに気づかない人も多いし、
もし気づいたとしても、「まぁ、しょうがないよね」と
目をそらしてしまうこともある。
だけど、「自由を求めること”をあきらめない」
ことが大切なのです。
人の目を気にせずに
自分の信念を貫き
やりたいことをやる
そんな風に生きていけば
自分の居場所を天国にするか地獄にするかさえ
自分で決めることができるのだと
オグジーから学ぶことができました。。