君の膵臓を食べたい | グラールの探求

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大友花恋さんが出演する映画

『君の膵臓をたべたい』

オドロオドロしい
タイトルなので
毛嫌いしてしまう人も多そうですが、
ホラーや猟奇映画ではなく
2016年
ナンバーワンベストセラーの
至ってまっとうな青春小説が原作です。


7月28日公開なので
原作をまだ読んでいない人は、
そろそろ予習しておいた方がいいと思います。



小説の内容は
余命宣告を受けているクラスメイトと、
その秘密を唯一知っている
『僕』の対話。

映画では、小説の12年後が描かれ、
過去と現在が交差する形で
ストーリーが展開されるとのこと。

大友花恋さんは、
親友、恭子の学生時代役で出演します。


高校時代より執筆活動をしている
作者のデビュー作ということで、
若々しい文体で二人の軽妙なやりとりが描かれています。

例えば、
焼き肉屋で一番高い食べ放題を頼んだ時の会話はこんな感じ。

「んまーい。お金持ちはこんなんばっか食べてるのかな!」
「お金持ちは食べ放題に来ないよ、多分」
「そうかー、こんな美味しい肉食べ放題なのにもったいない」
「お金持ちはなんでも食べ放題だよ」

二人の会話は終始こんな感じなのですが、
こうしたやりとりの中で、
余命宣告を受けたクラスメイトに
やがて訪れる未来を考え、
そして対話するのです。



「君の膵臓をたべたい」

どんな意味だろうと思わせる意図は明白なので、敢えてあらすじは書かない。

だけれどもが、

少しだけ解説をすると
この物語は現代の若者が書いた小説ながら
極めて古いテーマを扱った作品です。


1988年
今から30年近くも前に書かれた
神話学者、ジョーゼフ・キャンベルの著書
『神話の力』
の中に、
この作品の二つのテーマを見ることができます。

ひとつは、
「あらゆる苦しみや悩みの隠れた原因は」
「生命の有限性であり、それが人生の最も基礎的な条件なのだ。もし人生を正しく受け入れよう思うなら、この事実を否定することはできない」

そしてもうひとつのテーマは、
「結婚とはなんでしょう。神話はそれを教えてくれます。それは分離されていた二者の再統一です。もともとあなたがたは一体だった、いまこの現世で人は二つに分かれているけれども、精神的にはやはり一体だと認識することが結婚の本質でしょう」


『君の膵臓をたべたい』

この小説は
神話で語られている
人間の、
人類の根元的テーマが描かれている
極めて古く、かつ新しい作品です。