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Lightning Builderのブログ

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俺が『八時限目』のメンバーになった翌日。
昨日そこそこ打ち解けた様な気がしていたが山下さんとの関係は以前と同じだった。
そりゃそうだ。俺は陰気な孤独少年なのに対してあっちは引っ張りだこの人気者だ。
普通に教室に居ても相容れることはない。


放課後、俺は早速理科室へと向かっていた。
山下さんは掃除当番なので遅れてくる。
一階の廊下の突き当たりにある理科室の扉を開けた。
「…失礼します。」
中には一人だけ女子生徒が居た。
長い髪を後ろで結んでいる。昨日も居た人だ。
多分上級生だろう。名前はまだ知らない。
「新入りさん?確か…広峰君っていうんだっけ?」
急に話しかけられ思考が停止する。
俺は我を取り戻して話し出す。
「…ええ、はい。そうですけど。…あなたは?」
「ああ、まだ名乗って無かったわね。私は3-D、紅林那栖。以後よろしく。」
すごくクールな人だなぁ。年上って感じがする。
でもこの人も日夜変な研究をしているんだよな…。
「…ところで紅林先輩。それは何ですか?」
机の上に置かれたレジ袋を指さす。
「これはね。スーパーで買ってきた野菜よ。」
中から茄子を取りだす先輩。その表情はシェフをも凌駕するドヤ顔だった。
ナス…ね…。駄洒落かよ。
「…それで暗黒物質を作るんですか?」
昨日は月野先輩が暗黒物質を生成していた。紅林先輩も作るのかもしれない。
「フフッ。まさかね。」
先輩は棚からミキサーを取り出して机の上に置いた。
「私が研究しているのは速効性のある回復薬。栄養価の高い野菜を混ぜていくの。」
そんなので作れる訳無いだろ。
「当然、野菜だけでは完成しないわ。野菜はあくまで調味料。メインは…これよ。」
先輩は制服のポケットから小さい瓶を取り出した。土産屋で砂を売るときに使われるような瓶だ。
中にはドス黒い固体だか液体だか分からない物が詰まっている。
「校舎裏の山で採取してきた植物を片っ端からすって混ぜた物よ。」
これだけで十分です。何でここの人達は既に完成された物に無駄に手を加えていくんだろう。
まあ完成はしてないしこれからもしないだろうけど。
「じゃあ始めるわ。」
ミキサーにトマト、ナス、ピーマン、小学生の嫌いな野菜ランキングで常に上位の三大野菜が投げ込まれた。
その後もゴーヤ、ケール、大麦若葉、小松菜、ヨモギ、…って青汁じゃないか。
そして最後の締めに瓶の中身が入った。
その刹那、ミキサーの中で確かな変化が起こった。まだ電源が入っていないのにゴボゴボと音を立てている。
まさか本当に超常現象へと至ったというのか。
ミキサーに電源が入り、金属でも入れたのかというくらいの悲鳴を上げながら回り出した。
「失礼しまーす。あ、紅林先輩もう来てたんですね。」
山下さんが理科室に入ってくる。驚くほどの事ではないらしい。
「おおっ?やってますねぇ?」
程なくして月野先輩が入ってくる。やはり驚いた様子はない。
月野先輩は自分で買ってきたコーラをビーカーに移して大量のひじきを入れていた。
先輩、フラスコ使った方が良いと思います。ラムネ入れるならの話だけど。


ミキサーを止めて紅林先輩が中身を取り出してコップに移した。
「ふう、できたわ。広峰君、飲んでみて。」
「…飲めるわけ無いでしょ!?」
青汁ならともかく得体の知れない植物も混ざっているから飲むことはできない。
「うん。そうよね。悪かったわ。」
先輩はコップの中身を新たに取り出した400mlくらいの瓶に移そうとした。
その時
「ゴメン、広峰君!!」
山下さんがコップを奪い取って中身を押し込んだ。
俺の口に向かって。
「ふごっ!?」
強烈な苦みと辛み。
味覚と痛覚を刺激するダブルパンチに気を失いそうになる。
駄目だ。耐えられない…。
そこで視界が反転した。


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「…うっ。」
どれくらいの時間が流れたのだろうか。
目が覚めると外は暗くなっていた。
時計を確認する。6時半を回った頃だった。
「おう。起きたか。」
生徒はみんな帰っていて湯川先生だけが残っていた。ってか来たんですね。

机の上は綺麗に片付けられていて先ほどの魔界飲料は見あたらなかった。
「ふう。さて、お前も目覚めたことだし…。」
「…帰りますか。」
俺は鞄に手をかけた。しかし、
「ん?何を言っているんだ?」
「え?」
先生は立ち上がり言った。


「始めるぞ。九時限目を。」


◆やばい。自分でも何がしたいのか分からない…。補足として「紅林」の読みは「くればやし」です。ナスにした事に特に理由は無いです。一回使ってみたかっただけです。念のために言っておきますが八時限目メンバーは初日に居たけど名前が出てない人がいます。「数人って3人だけかよww」なんてことはないので安心してください