短歌がものすごく減りました。俳句に注力した分なのだと思いますが、いずれまた増やしていきたいものです。
自撰
瀝青の深いいきれを巻く風にこのミスタッチをそっとあずけて
8/1
瀝青の深いいきれを巻く風にこのミスタッチをそっとあずけて
8/3
大酒も元気の前借り夜業とて命の前借り下がり花咲く
カーテンをまだ開けないでもう少し互いのしじまの中に居ようか
夕焼けのつもりで駅を降りて早や夕暮れテクスチャのごとき西が
暑けれどいのちの密度ひとときは南の国に比肩いとをし
8/4
底知れぬ穴の底まで降り、仰ぐ入口ほどの化石を抱きたい
出したのと異なる音が返り来るホールの音を変える術なし
8/21
道行を日毎に重ね重たさは肩まぶた腕足と記憶に
8/30
自責して大抵足りないのは眠り酒でもないし時間でもない
9/2
働いて内なる友も宝石もなくなったのか塗りこめたのか
無視してもよいか十七時の明かり青でも赤でもない空の色
9/6
呟ける理由呟けない理由それが大人になるということ
9/22
雨一つ終わるたび毎また一つ切り離される私の身体
9/28
人生を壊してしまう方法を三日に一度思いついては
10/14
四六時中三百六十五日間モラハラの毛を生やして摘んで
11/1
寝不足の午後三時から無価値感これがわたしの渇水警報
君だけは世界の誰よりかわいいとリードを持つ人たちの午後四時
11/6
酒で詠む歌には限りがあるのだと馬韓弁韓辰韓の果て
12/26
それはもうイケるぞという友人の声反芻すカウンター九時