立秋を過ぎたのだそうです。そう思う日もあり、そう思わない日もあり。

 

 自選

吾子のみぞ写真のブレる盆の旅

 

 

8/10

居残りは一刻も早や宵の月

身を縮め凌ぐラッシュや藪枯

 

8/11

三年たち人戻りしに盆の波

人波も凪いでまさぐる秋扇

 

8/14

鈴虫をしゅじゅむしと言う川の字は

 

8/17

吾子のみぞ写真のブレる盆の旅

 

8/18

ミラー越しマーチバンドの百合の音

 

8/21

ビル静か半蔵門のほうの蝉

二万歩の吟行の果て西瓜かな

残暑かなイチョウも少し背を丸め

 

8/22

夫のこと女三人新酒にて

 

8/23

まぶた裏うかぶことども藪枯

好演の後は喫茶へ柿紅葉

登山雨晴好雨奇といいますが

好かれむと思ひたくなし星月夜

 

8/25

明日の前に中休み在れ夜長し

 

8/27

処暑の庭しんしんと陰深き夕

命もフェルマータ秋の夕焼け

 

8/29

白夜かなトランクの音汽車のごと

 

8/30

鳳仙花きょうはそういう日なんでしょ

 

8/31

満腔の無為あの鯔の河口へは

灰色の河口に鯔の消えたきり

あの男どっちに着くか鯔の水

財布みて風吹き抜ける店に鯔

鯔釣りに出掛けたっきりもう大河

 

夏井いつきの一句一遊のお題に投句しなかったものをときどき載せています。この記事では8/23(好)、8/31(鯔)。