藤子不二雄さんの漫画「オバケのQ太郎」に、「オバQ内閣」という一話が、あります。

この話、「ドラえもん」の「Yロウ」というエピソードと同じく、子供の頃には、何気なく、読んだのですが、大人になった今、読み直してみると、色々と、面白い。

 

 

正ちゃんは、何もすることがなく、退屈をしていた。

そこで、これまで、したことのない、新しい遊びを、思いつく。

それが「政治ごっこ」です。

 

正ちゃんと、Qちゃんは、仲間を集めることに。

よっちゃんの家に行き、「みんなで、内閣を作って、政治を学ぼうと思うんだ」と、正ちゃんは、言う。

すると、Qちゃんは、「嘘ばっかり、単なる、暇つぶしだ」と言うが、正ちゃんは、「馬鹿だな。政治家は、格好良いことを言わなければならないんだぞ」と、言う。

確かに、政治家は、取りあえず、「格好の良いこと」を、言わなければならない。

それが、例え、心にも無いことでも。

 

仲間を集めた、正ちゃんと、Qちゃんは、くじ引きで、大臣を決める。

 

Qちゃん、総理大臣。

正ちゃん、文部大臣。

ゴジラ、運輸大臣。

木佐くん、大蔵大臣。

よっちゃん、厚生大臣。

ドロンパ、外務大臣。

小池さん、農林大臣。

ハカセ、科学技術庁長官。

 

内閣が出来たところで、施政方針演説をすることに。

 

Qちゃんは、「施政方針演説って、何だ」と言う。

すると、「これから、やりたいことを、言うんだよ。例えば、給料を増やすとか、税金を減らすとか」と言われ、Qちゃんは、「じゃあ、給料を減らして、税金を増やす」と言う。

これって、政治家の、本音かも。

 

他の大臣たちも、次々と、自分のやりたいことを演説して行く。

その中で、正ちゃんが「みんなに、今日の学校の宿題をやってもらう」と言ったところで、他の大臣たちから、ヤジが飛ぶ。

そこで、今日の国会は、終わりということになり、「せっかく、ヤジが出て、国会らしくなったのに」と、一言。

 

さて、それぞれ、みんな、大臣としての仕事を始める。

Qちゃんは、それの視察に出かける。

 

ゴジラは、母ちゃんに、荷物運びをさせられていた。

「おい、運輸って、物を運ぶことなのか」

「字で書くと、そうなるね」

「何か、別の大臣にしろ」

と、ゴジラは、言う。

 

中華料理屋から追い出されてきたドロンパ。

「日中会談、決裂だ」

「どうしたの」

「中華料理を、タダで食べさせろと言ったら、断られた」

当然の話。

 

木佐くんと、小池さんが、揉めていた。

「どうしたの」

「小池さんが、ラーメン代を出せと言うんだ」

小池さんは、木佐くんに、より上手いラーメンは何かを調べるために、そのお金を、木佐くんに出してくれと言い、揉めていたのだった。

「だって、国のお金は、大蔵大臣が出すものだ」

と、小池さん。

「そこまで、面倒みれないよ」

と、木佐くん。

 

よっちゃんは、町内の空き地を使う、スケジュール管理をしていた。

誰が、何時、空き地を使って、遊ぶのか。

 

しかし、そこに、隣町の野球チームのキャプテンが、やって来る。

「これから、この空き地は、俺たちが使うことにする」

と、宣言。

正ちゃんは、臨時国会を召集。

大臣たちの意見を聞くことに。

 

正ちゃん、Qちゃんは、「平和的に、解決をしよう」という意見。

木佐くんと、ゴジラは、「戦争だ」という意見。

四人は、取っ組み合いの喧嘩を始める。

「これが、噂に聞いた、国会乱闘か」

と、ドロンパ、小池さんらは、眺める。

 

そして、ドロンパは、「こんな時こそ、外務大臣が出るところだ」と、隣町に、交渉に出かける。

そして、隣町の野球チームのキャプテンの家に行き、空き地を使う時間を割り振ることを提案し、書類に調印させる。

が、その書類には、昼は、自分たちが使い、夜に、隣町が使うという内容が書かれていた。

「名外務大臣だ」

と、正ちゃんたちは、ドロンパをもてはやすが、書類の内容を知った隣町の野球チームが、実力行使にやって来る。

 

敵の数は、どんどん増えて行く。

正ちゃんは、科学技術庁長官のハカセに、敵を倒すための新兵器の開発を求めるが、当然、そのようなものが開発できる訳もない。

ゴジラと木佐くんは、味方を裏切り、敵に降伏をしに行くが、スパイと疑われて、身柄を拘束される。

 

そこで、総理大臣であるQちゃんが、交渉に乗り出すことに。

隣町の野球チームのキャプテンと話をする中で、Qちゃんは、あることに気がつく。

「隣町の空き地は、どうなったの」

「そうだ。お互いの空き地を、交換しようじゃないか」

Qちゃんは、「それなら良い」と、書類に調印。

Qちゃんは、交渉をまとめたことを自慢するが、「なんで、そんな面倒なことをするんだろう」という疑問が、仲間から出る。

 

そういえば、そうだと、Qちゃんは、隣町の空き地を見に行く。

すると、その空き地は、工事中だった。

だから、自分たちの空き地を、奪いに来たのかと、Qちゃんは、自分の失態に、失望する。

が、よく話を聞くと、その工事は、空き地を、野球場にするための工事だった。

 

以上、「オバQ内閣」の物語ですが、色々と、政治の、面白いところが含まれていますよね。

 

格好の良いこと、国民に聞こえの良いことばかりを言う政治家。

だまし合いの、外交交渉。

国の予算の使い方の問題。

敵が現れた時に、どう対処をすれば良いのか。

戦争か、平和か。

 

そして、Qちゃんは、空き地を取られてしまった、自分の失敗に、「死んで、お詫びをしよう」とする訳ですが、当然、オバケが、死ぬ訳もない。

政治家の責任の取り方は、どうすれば良いのか。

 

今、本物の国会でも、色々と、揉めていますよね。

一体、どう責任を取るつもりなんでしょうね。