写真を撮る時に、定番のかけ声といえば「はい、チーズ」ですよね。

これは「チーズ」と言う時の、口の格好が、微笑んでいるようになるから、と、言うことは、多くの人が、知っているのではないでしょうか。

この「はい、チーズ」に関して、面白い話が、この本に。

 

 

実は、日本語で「チーズ」と言えば、「ズ」の口の形は、口をすぼめることになり、笑顔にはならないですよね。

しかし、英語で、「チーズ」という発音をすると、「ズ」の発音も、口をすぼめないそうで、そのまま、笑顔。

だから、英語圏では「セイ・チーズ」と、写真を撮る時に、言うそうです。

 

問題は、英語圏の、この「セイ・チーズ」が、いつ、日本で普及したのか。

それは、本の中の記事によると、1963年、雪印乳業のテレビCMが、きっかけだったのではないかということのうようです。

 

このCMの内容は、このようなもの。

 

緊張している日本人の女性のモデルさんに、外国人カメラマンが「セイ・チーズ」と言うそうです。

それを受けて、日本人のカメラマンが、「チーズって、言ってごらん」と、外国人カメラマンの言葉の通訳をする。

すると、女性のモデルさんは「チーズ」と言って、笑顔になる。

そして、このCMのキャッチフレーズは、「あなたもチーズと言いましょう。チーズは、笑顔を作ります」というものだったそう。

 

このCMは、日本での「チーズ」の普及を目指し、また、東京五輪を翌年に控えて、国際化と外国人観光客の受け入れの機運が高まっていたことによって、作られたのだろうということ。

この年、チーズが、学校の給食として採用される。

チーズの、一人あたりの消費量も、どんどん、増えて行くことになる。

 

ちなみに、写真というものが登場し始めの19世紀後半。

写真を撮る時に、笑顔は、タブーだったそうです。

歯を見せて、笑うことは、行儀が悪いと言われたということ。

そのため、口元を引き締める「セイ・プルーン」というかけ声があったそうです。

 

日本でも、幕末期に撮影された有名人の写真は、ムッと、口を結んでいるのが基本。

しかし、こういう以外な表情を撮影した人も居ます。

 

まるで、現代人のような、笑顔の写真。

この人物は、有名な中岡慎太郎です。

 

こちらが、坂本龍馬。

口元を、ムッと、引き締めている。

当時は、こちらの方が普通で、中岡慎太郎の方が、変わっている。

 

実は、口元を引き締めた表情が多かったのは、当時、写真を撮影する時の露光時間が長く、笑顔を、その間、キープするのが難しかったという理由もあったそうです。

中岡慎太郎は、それでも、笑顔で写真を撮ったということですよね。

なぜ、でしょう。

 

中岡慎太郎と言えば、こちらの写真が有名でしょう。

こちらは、ムッと、口元を引き締めている。

 

坂本龍馬、中岡慎太郎の二人は、慶応3年(1867)11月15日、京都四条の近江屋で、刺客に斬り込まれ、坂本龍馬は、その時に亡くなり、中岡慎太郎は、その二日後に、亡くなる。

明治以降も、二人が生きていれば、どういう活躍をしたでしょうね。