さて、雑誌「歴史街道」に、「ヘアスタイルの昭和史」という章がありました。
女性のヘアスタイルというもの。
かつては、「日本髪」を結うのが基本で、これは、明治維新が起こり、西洋文化が入っても、変わらなかったそう。
こういう感じ。
やはり、和服、着物には、女性は、この「日本髪」が似合いますね。
しかし、大正時代の末期から昭和時代の初期、女性の髪型に、大きな変化が訪れます。
その一つが、「モガ」、つまり「モダンガール」の登場です。
この「モダンガール」とは、西洋のファッションを積極的に取り入れた都会の若い女性のこと。
彼女たちは、基本的に洋装で、当時としては、かなり短い、膝下くらいの丈のワンピースなどを着ていた。
そして、ヘアスタイルは「断髪」と呼ばれた、短い髪型で、当時の人にとっては、衝撃的だったそう。
モガの写真のカラー化をしたもの。
なかなか、ファッショナブルですね。
この短い髪型が、なかなか、周囲の人たちに驚かれたよう。
とても、大正末期、昭和初期とは思えない感じ。
そして、この頃、アメリカから「パーマネント」の技術が、日本に入って来たそうです。
このパーマネントが、女性のヘアスタイルとして流行するのは、完全に、昭和に入ってから。
昭和5年(1930)には、女性雑誌で「パーマネントウェーブの仕方」という特集が組まれるほど、流行をしていたそう。
しかし、日本は、昭和12年(1937)、日中戦争から、社会は、暗い時代に入って行く。
パーマネントは、贅沢という認識で、昭和14年(1939)、パーマネントは、禁止される。
また、一部地域では、「パーマネントの方は、町の通行をご遠慮ください」という看板まで立てられたそう。
しかし、女性のパーマネントへの憧れは、強かった。
昭和18年(1943)、大日本婦人会で、改めて、パーマネント禁止が決定される。
つまり、パーマネントをかける女性は、当時も、多く存在していたということ。
戦争末期は、電力が不足し、物理的にも、パーマネントもかけられなくなりますが、何と、女性たちは、配給の木炭を持って美容院に行き、それを燃やした熱で、パーマネントをかけてもらっていたということ。
女性の「美」への、凄い執念ですね。
ちなみに、男性の髪型は、いわゆる「ちょんまげ」が、明治維新になってから廃止され、自由になった訳ですが、基本的には、丸刈り、角刈り、短い髪型の七三分け、オールバック、このような髪型が定番だったそう。
そのため、男性の髪型には、流行というものが、長く、存在しなかった。
男性の髪型で、最初の流行と言えるのが、1950年代半ばに流行した「慎太郎刈り」だそうです。
これは、いわゆる「スポーツ刈り」の前髪を伸ばしたもので、あの石原慎太郎さんが小説「太陽の季節」で、芥川賞受賞、そして、映画化。自らも、出演し、注目を集め、その髪型がブームになった。
当時の石原慎太郎さんです。
この髪型が「慎太郎刈り」。
さて、同じ頃、昭和29年(1954)、日本で、映画「ローマの休日」が公開される。
この映画に主演をしていた、オードリー・ヘップバーンの髪型が、女性の間で、流行したそう。
日本橋のデパートでは、ヘップバーンカットの女性のコンテストも行われたそうです。
この髪型ですかね。
確かに、可愛い。
これは、日本で初めての、女性のショートカットの流行だったそうです。
昭和33年(1958)、映画「悲しみよこんにちは」が公開され、そのヒロイン、セシルの髪型が、「セシルカット」として流行。
こちら、セシルカットだそうです。
ベリーショートですね。
昭和42年(1967)には、「ミニスカートの女王」として人気のツイッギーが来日。
このツイッギーの、ミニスカートと共に、ヘアスタイルも流行したそうです。
ちなみに、この髪型を考案したのは、高名なヘアドレッサーの「ヴィダル・サスーン」。
ヴィダル・サスーンって、人の名前だったんですね。
知らなかった。
昭和41年(1966)、ビートルズが来日。
あの「マッシュルームカット」が、若者の間で、流行する。
その後、アメリカのヒッピー文化や、フォークソングのブームで、長髪が流行する。
そして、1970年代後半から、「テクノカット」が流行。
この「テクノカット」ですが、YMO以前、すでに、ドイツのバンド「クラフトワーク」のメンバーが、この「テクノカット」だったそうですね。
YMOも、それを取り入れたということなのでしょう。
この頃、学校の校則で「テクノカット禁止」という学校もあったそう。
昭和47年(1972)、麻丘めぐみさんの髪型が「姫カット」として流行したそうですね。
そして、昭和55年(1980)、松田聖子の登場で「聖子ちゃんカット」が流行する。
バブル期に流行したのが「ワンレン」ですよね。
ワンレンに、トサカ前髪。ボディコン。
懐かしい。
平成の時代になると、一つの髪型が流行をするという現象が見られなくなる。
やはり、価値観の多様化で、みんなが、同じものを見て、同じものに憧れるという現象が、無くなって行ったということのよう。
個人的には、ファッションには、全く、関心が無く、髪型にもまた、関心が無い。
少し、余談ですが、個人的に、長い髪をしていた女性が、急に、ショートカットにすると、とても、可愛く見えるんですよね。
内田有紀さんを、最初に見た時には、長い髪をしていて、その長い髪を、ばっさりと切った時、「内田有紀って、こんなに可愛かったのか」と、個人的に、感じたんですよね。
やはり、髪型によって、顔の印象は、大きく変わる。
かといって、どのような髪型が、その顔に似合うのかということは、全く、分からない。
もっとも、それは、個人の趣味、と、言うことになるのでしょうね・。