地球の資源について、雑紙「ニュートン」から。

 

 

石油が出る国と言えば、イメージと言えば中東の国々を思い浮かべますよね。

しかし、現在、世界最大の産油国は、アメリカだそうです。

そして、二位は、ロシア。三位が、サウジアラビア。四位が、カナダということになるそうです。かなり意外。

そもそも、石油は、2億年から3億年前に、海洋プランクトンの死骸などの有機物から作られるもの。海の底などに溜まった有機物が微生物によって分解されないまま堆積し、砂や泥の下に埋もれて行く。そして、堆積物が、だんだん、地下に沈んで行くと、高温、高圧に晒され、有機物は、石油に変質することになる。

石油を生み出す、有機物を含む堅い岩盤を石油根源岩というそうです。この石油根源岩は、シェール層と呼ばれる地層に存在し、この石油根源岩から染み出した石油が、岩盤の隙間に溜まると油田となります。

アメリカが、世界一の産油国になったのは、油田ではなく、このシェール層から、直接、石油を取る技術を開発したため。

 

天然ガスの産出量も、アメリカが、世界一ということになる。そして、ロシアが、二位。

この天然ガスは、石油が生成される過程で、有機物が分解されて出来た、メタンガスのこと。

アメリカが、天然ガスの世界一の産出国になったのも、シェール層から石油を採る技術が開発されたとこによるそう。

今後、地球の温暖化による北極の氷の減少で、北極圏での天然ガスの開発が進むことになる。この北極圏には、多くの天然ガスが埋蔵されていることが予想されているそう。

 

鉄や銅、アルミニウムといった、埋蔵量、産出量の多い金属を、ベースメタルと言うそうです。実は、このベースメタルを利用するためには、鉱石から金属成分を分離、精製した地金を作る必要があるそう。

そして、この地金の生産量で、圧倒的な世界一となるのが中国です。

中国は、ベースメタルの原料を、世界中から買い集め、地金を作っている。

実は、この技術を中国に指導したのは、日本だということ。1970年代から、経済協力の一環として、指導が行われたそうです。

実は、この地金を生産するのは、それを消費する市場も必要で、中国は、同時に、自動車産業などを育成し、消費を支えることになる。

今、日本の鉄鋼企業の日本製鉄が、アメリカのUSスチールを買収することが大きな問題になっていますが、これにもまた、日本の鉄鋼業の技術が、大きく関わっている。

中国は、鉄の地金の生産と共に、銅の地金の生産も拡大し、今では、世界の半分近くを生産しているそう。この銅は、脱炭素化の中で、今後、大きな需要が見込まれ、「21世紀の石油」とも呼ばれているそうです。

ちなみに、鉄鉱石の産出量の一位は、オーストラリアで、二位が、ブラジル。

銅鉱石の産出量は、チリが、世界一で、コンゴが、二位。ペルーが、三位と続きます。

 

金属の中で、埋蔵量が少ないもの、抽出が難しいものを、レアメタルと呼びます。

リチウム、コバルト、ニッケルなど。

リチウムイオン電池に使われるレアメタアルを、バッテリーメタルと呼ぶそうで、今、世界で、その争奪戦が起きているということ。

電池の正極に使われるコバルトは、コンゴ民主共和国が、産出量で、世界の75パーセントを占めている。コンゴには、世界最大の銅の鉱床があるそうで、ここで、風化という作用によって、銅やコバルトの濃度が、相対的に高くなり、しかも、安価に取り出すことが出来るそうです。

ニッケルも、電池の正極に使われ、インドネシアが、世界の約60パーセントを産出。それに、フィリピン、ニューカレドニアが、続きます。

電池の充放電を担うリチウムは、オーストラリアが、36パーセント。それに、チリ、約20パーセント、アルゼンチン、約8パーセントと、続きます。

 

このレアメタルについて、世界最大の供給国は、中国です。

ガリウムでは、世界の97パーセント。ゲルマニウム、インジウム、レアアース類は、約70パーセント。アンチモンは、約50パーセントを占めている。

ガリウムとゲルマニウムは、化合物半導体の生産に必要なものだそう。一般的な半導体は、シリコンなどを材料にしているそうですが、化合物半導体は、半導体の性能を高めたものだそう。

さて、ガリウムとゲルマニウムは、鉱石から採取される量は、それほど、多いものではないということ。ガリウムは、原料鉱石のボーキサイトから、アルミニウムを精錬する過程で、副産物として生産されるそうです。

また、ゲルマニウムは、亜鉛を精錬する過程で、副産物として回収されている。

中国は、アルミニウムの精錬で、世界の約6割。亜鉛の精錬で、約3割を担っている。ここから、ガリウムとゲルマニウムを取り出している訳で、その技術は、世界でトップレベルだということ。

 

日本は、資源の無い国と言われていますが、ヨウ素の生産では、世界第二位だそうです。

そして、今後、期待をされているのが、小笠原諸島の南鳥島周辺の海底にあると言われているコバルト。

また、金は、今でも、銅の精錬の過程で、今でも、年間100トンほど生産されているそう。

これは、世界で10番目くらいだそうです。

日本には、金の鉱床が、たくさんあるそうですが、金鉱石から金を取り出すのは、なかなか、難しいそう。外国では、シアン溶液を使って、金を取り出しているそうですが、日本では、毒性が高いために、行政の許可を得るのが難しいそう。

 

しかし、地球の資源というものは、限りあるものですよね。

掘り続けていれば、いつかは、必ず、無くなってしまう。

実際、現在、一部の鉱石で、金属成分の比率が低下をする低品位化が起こっているということ。これまで、利用しやすい高品位の鉱石を中心に採掘して来た結果、低品位の鉱石が残ったということになる。

 

地球から資源が無くなって、必要なものが取れなくなった時、人類は、どうするのでしょうかね。

例えば、石油が取れなくなったら、鉄や、銅が、取れなくなったら。

一体、どういう生活が待っているのか。