雑紙「歴史街道」の今月号。
『「香り」と「匂い」の世界史』という記事があり、興味深く、読みました。
香りと匂いの世界史。
オシャレに気を遣う人は、男女を問わず、「香り」「匂い」にもまた、気を遣うものなのでしょう。
旧石器時代には、すでに、この「香り」を楽しむ文化があったと考えられているそうです。
最初は、香りの良い植物を、そのまま、身体にこすりつけていたようですが、そのうち、木々の樹脂の中には、加熱すると良い匂いが増すものがあることを発見する、
ちなみに、香水を表す英語「perfume」は、ラテン語の「perfumare」で、「per」は「通して」、「fumare」は「煙を」という意味。つまり、人類が、かつて、植物を焚くことで、香りを楽しんでいたことを表している。
この「香り」の文化は、世界中にあったそうですが、特に、古代エジプトを中心にした地中海地域で発展したそうです。
古代エジプトでは、香りの良い植物を、植物油や動物性脂肪を混ぜ合わせる「香油」が作られるようになります。
この「香油」は、美容、衛生の他に、薬や、宗教儀式にも使われたそう。
さて、現在、使われている「香水」ですが、これは、香料をアルコールに溶かしたもの。
この「香水」が発明されたのは、14世紀以降だそうです。
ちなみに、この「アルコール」が発明されたのは、イスラム社会だそうです。
そもそも、最初は、「錬金術」が、きっかけだったそうですね。
イスラム社会では、8世紀以降、この「錬金術」の研究が盛んになり、この「錬金術」の研究の中で、「蒸留器」が発明され、この「蒸留器」を使って、発酵物から、アルコールを抽出することに成功。これが、11世紀のこと。
この、アルコールを抽出する技術が、11世紀以降、繰り返された「十字軍」の遠征で、ヨーロッパにもたらされる。
そして、ヨーロッパで、香料をアルコールに溶かした「香水」が作られるようになった。
そして、16世紀以降、この「香水」は、ヨーロッパ社会で、急速に、広まることになる。
なぜ、ヨーロッパで、香水を付ける習慣が、急速に、広まったのか。
それは、ヨーロッパの人たちには、入浴をする習慣が無く、自分の体臭を抑えるために、この「香水」を必要としたということ。
さて、ここで、一つ疑問。
なぜ、ヨーロッパの人たちには、入浴の習慣が無かったのか。
以前、大ヒットした「テルマエ・ロマエ」を見ても分かるように、古代ローマの人たちは、この「入浴」というものを、楽しみの一つとしていた訳で、つまり、かつて、ヨーロッパの人たちの間にも、入浴の習慣は、確かに、あった。
それが、いつ、なぜ、無くなってしまったのか。
実は、これには、14世紀に、ヨーロッパで大流行した「黒死病」、すなわち「ペスト」が関係をしているそうです。
この「ペスト」の大流行で、ヨーロッパの人たちの3分の1が、命を落としたと言われている。
この時、古代ローマ以来、楽しまれていた「公衆浴場」が、感染を広げるという理由で、禁止をされたそうです。
そして、更に、「水や湯を浴びると病気になる」という迷信が広まり、ヨーロッパでは、入浴の習慣が無くなったそうです。
フランス国王ルイ14世は、大の香水好きとして知られていたそうですね。
そして、フランスの宮廷では、香水が、大流行をしたということ。
しかし、このフランス宮廷での香水の大流行には、「体臭を抑える」という他にも、理由があったそうです。
その理由は、「大小便の匂いを消す」ためでもあったよう。
あの「ベルサイユ宮殿」には、トイレというものが、ほぼ、無かったことで有名。
そして、その宮殿を訪れる人たちは、基本的に、庭で、用を足していた。
当然、ベルサイユ宮殿では、この「糞尿の匂い」が、かなり、したはず。
それを抑えるためにも、香水が、必要だったそうです。
フランス、貴族の女性たちは、このように、随分と、ふくらんだスカートをはいているのが特長ですよね。
これは、実は、そのまま、庭に、しゃがんで、大小便をするために、このような格好になっているそうです。
そして、香水は、西洋文化の重要な一部となる。
そして、それが、世界に広がることになる。
ちなみに、日本での「香り」の文化は、直接、自分の身体に「香り」をつけなというのが、特長だそうです。
例えば、衣服に「香」を焚きしめて、衣服に、匂いをつける。
または、部屋に、香りを、漂わせて、それを、楽しむ。
この、間接的に、香りを楽しむのが、日本の特長だそう。
今は、「アロマ」なども、人気ですよね。
興味は、あるのですが、なかなか、手が出ない。