飛行機が発明されてから、飛行機とは、エンジンでプロペラを回して飛ぶものだった。

しかし、エンジンでプロペラを回して飛ぶ構造では、飛行機の性能の限界が見えて来る。

そこで、新たな飛行機を飛ばす推力として利用が考えられたのが「ジェットエンジン」です。

取り込んだ空気を燃料で燃やし、強いガスを後方に吐き出して、推進力にするもの。

 

「ジェットエンジン」の開発が始まったのは1930年代。

 

世界で最初に、この「ジェットエンジン」で飛行機を飛ばしたのは1939年、ドイツのハインケル社です。

そして、世界初の実用ジェット機となったのが、同じドイツのメッサーシュミット社が開発をした「メッサーシュミットMe262」戦闘機です。

 

 

 

 

なぜ、最初にジェット機を飛ばしたハインケル社ではなく、メッサーシュミット社が、世界初の実用ジェット機を完成させることになったのか。

それは、ナチスとの結びつきが強かったから、と、言う話もあるようです。

ドイツの主力戦闘機が、「メッサーシュミットBf109」だったのも、やはり、ナチスと、メッサーシュミット社との結びつきがあるのでしょう。

 

メッサーシュミット社で、ジェット戦闘機の開発が始まったのも、1939年。

1941年には、試作1号機が完成し、1942年に、飛行試験が始まることになる。

1943年には、ナチスの幹部が、試験飛行を視察に来ますが、その時、ヒトラーが、「戦闘機ではなく、爆撃機として開発を進めるように」と命令をしたため、現場が混乱を起こし、Me262の開発は、大幅に遅れることになる。

 

1944年8月、空軍への引き渡しが始まる。

9月、実戦部隊が編成される。

10月、作戦行動を開始。ジェット戦闘機、初の実戦参加ということになる。

 

この世界初のジェット戦闘機は、最高速度は時速850キロを超える。

当時、アメリカ、イギリスのレシプロ戦闘機は、最高速度が、650キロから700キロをわずかに超える程度。

Me262は、簡単に、敵の戦闘機を振り切り、爆撃機の編隊に攻撃をすることが出来た。

30ミリ機関砲や、R4Mロケット弾という強力な武器を搭載し、終戦間際には、連合国軍の爆撃機の編隊に、大きな打撃を与えたそうです。

 

しかし、この世界初の実用ジェット戦闘機は、いくつもの問題を抱えていました。

 

非常に燃費が悪く、機体に燃料を満載しても、飛行時間は30分程度。

 

エンジンの寿命が30時間ほどと短く、敵に撃墜されるよりも、エンジン寿命が終わり、使用できない機体の方が多かったとか。

 

エンジンスロットルの利きが悪く、加速が非常に鈍い上に、一度、速度が落ちると、再び、加速をすることが難しかったということ。

また、エンジンが、飛行中に停止することもあったようですね。

このため、離着陸の時には、とても無防備になり、味方のレシプロ戦闘機が援護をしなければならなかった。

敵戦闘機とのドッグファイトも不可能で、敵戦闘機との空中戦に巻き込まれ、速度が落ちてしまったところを撃墜されることもあったとか。

 

しかし、このMe262に、やや遅れて登場することになる、イギリスのジェット戦闘機「グロスターミーティア」や、アメリカのジェット戦闘機「P80シューティングスター」よりも、Me262の方が性能が上で、その後のジェット機の開発に、戦後、大いに参考にされたよう。

 

グロスターミーティア。

 

P80シューティングスター。

 

ちなみに、この「メッサーシュミットMe262」は、後に、飛行機が高速で飛行をするのに有利だという「後退翼」を採用していますが、これは、その効果を狙って採用したという訳ではなく、偶然の産物だったそう。

もとも、Me262もまた、「グロスターミーティア」や「P80シューティングスター」と同じく、直線翼と採用する予定だったようですが、エンジンが大型化し、全体の重心を後ろに下げるために、翼を後方に下げ、結果、「後退翼」になったということ。

 

そして、時代は、ジェット機の時代になる。