フランツ・カフカという小説家。
「ユリシーズ」を書いた、ジェイムズ・ジョイス。
「失われた時を求めて」を書いた、マルセル・プルースト。
このジョイス、プルースト、カフカの三人は、20世紀を代表する三大作家と言われているそうですね。
しかし、ジョイス、プルーストの小説は、難解で有名で、そもそも、読むことが難しいという話。
僕自身も、ジョイスの「ダブリン市民」を読み始めて、あまりにも読みづらく、内容が分かり辛いので、途中で、挫折。
しかし、カフカの小説は、「読む」ということに関しては、それほど、困難は無い。
とても、文章は、読みやすく、内容も、分かり易いもの。
しかし、その内容が、一体、何を意味しているのか。
一体、登場人物たちが、なぜ、そのような行動をしているのかということが、どうも、よく分からない。
しかし、「よく分からない」からといって、面白くないのかと言えば、そうではない。
カフカの小説は、何だか、意味がよく分からないのですが、「面白い」という、不思議な小説です。
個人的に、カフカの小説の中で、一番、好きなのは「城」という長編。
主人公の「K」は、城の見える村にやって来る。
Kは、測量士として城に雇われ、城に入るためにやって来たのですが、どうしても城にたどり着くことが出来ない。
Kは、何とか、城に入ろうと、村人を交渉するのですが、結局、城に入る許可は出ない。
Kは、そのまま、村に留まることになるのですが、周囲の状況を、把握できそうで、把握できない。
そして、何とか、城と連絡を取り、城に入る手段は無いかと、あれこれ、行動をするのですが、どれも、上手く行かない。
こういった、まどろっこしい状況が、不可解な周囲の人たちの行動に悩まされながら、延々と続くことになる。
もしかすると、趣味に合わない人が読むと、辟易をして、途中で、読むのを止めてしまうかも。
しかし、個人的には、カフカの小説の中では、一番、好きです。
ちなみに、この「城」は、未完です。
カフカの長編小説には、この「城」の他に「審判」「失踪者」がありますが、どれも未完となっています。
そして、このカフカの長編小説の大きな問題は、カフカの死後に、親友だったマックス・ブロートが、カフカの未発表の草稿に手を入れて発表されていること。
カフカは、40歳という若さで亡くなりますが、死後、自分の原稿は、全て、焼き捨ててくれと遺言を残していたとか。
しかし、このマックス・ブロートが、カフカの遺言を無視したことで、当時、未発表だった名作の数々を、今、読むことが出来るのは、有り難いことです。