樋口一葉の小説「十三夜」。
主人公は、「お関」という女性。
お関は、十三夜の夜、嫁ぎ先から、突然、両親の居る実家に帰って来る。
両親は、怪訝に思いながらも、歓迎をするのですが、父親は、どうも、娘の様子がおかしいことに気がつき、実家に戻って来た理由を問い詰める。
すると、お関は、「離婚をしようと思い、帰って来た」と、両親に話す。
お関は、両親に、事情を話すことになる。
お関の家は、元士族ながら、今は、非常に、貧しい生活をしている。
その、お関は、七年前に、原田勇という社会的地位のある男性に、偶然、見初められ、熱心に結婚を申し込まれることになる。
両親は、「あまりにも、身分が違い過ぎる」と、結婚の話を断ろうとするのですが、「娘さんは、絶対に、一生、大切にします」と、勇に言われ、結婚を許すことに。
結婚当初、勇は、約束通り、お関を大切にしていた。
しかし、息子が生まれると、途端に、態度が変化をする。
ひどい精神的暴力、つまり、今で言うところの「モラハラ」の始まりです。
この、ひどいモラハラに耐え兼ね、お関は、一人息子を家に残し、実家に帰って来たのだった。
しかし、お関の父親は、離婚に反対をする。
それは、お関の一人息子のため。
そして、お関の弟もまた、勇の口利きで、仕事に就き、今は、安定した、満足の行く生活をしている。
両親の説得を受け、お関は、息子のため、弟のために、離婚は諦め、嫁ぎ先に帰ることにする。
そして、家に呼んだ人力車に乗り込む。
しかし、しばらくしたところで、お関は、人力車を引く男が、録之助であることに気がついた。
録之助は、お関が学生の頃に、付き合いのあった煙草屋の息子。
当時、お関は、ぼんやりと、将来は、この録之助と結婚をするのかもと思っていた。
そして、録之助も、お関に好意を持っていたのだが、お関の結婚をし、出産をしたことで、録之助は、身持ちを崩すことになる。
録之助もまた、結婚をしたのだが、上手く行かず、今は、車夫をしているということ。
原田の家の前に来ると、お関は、お金を払い、人力車を引く録之助を見送った。
この小説を読むと、誰もが、「え? 何で、離婚しないの?」と、思うでしょう。
ここまで悲惨な目にあっても、まだ、我慢をして結婚生活を続けなければならないのか。
明治の女性の立場は、このような感じが、一般的だったのでしょう。
まさに、男尊女卑と言ったところでしょうか。