樋口一葉の小説「大つごもり」。
主人公は、「お峯」という18歳の女性。
山村家という資産家の家で奉公をしている。
奉公先の主人は厳しく、多くの奉公人が、すぐに辞めて行く中で、お峯は、我慢をして、奉公を続けていた。
お峯は、親を、早くに亡くし、伯父のところで、育てられた。
その伯父が、病気になったと聞き、やっとの思いで、休暇を貰い、伯父の家に行ってみる。
伯父の家は、経済的に困窮をしている。
高利貸しに借りた借金の利子も、返せるあてがなく、困っていた。
年末、大晦日には、少なくとも、借金の利子、2円を返さなければならない。
お峯は、山村家から、2円を借りれるよう、頼んでみると、伯父に話す。
そして、伯父の8歳の息子に、大晦日に山村家にお金を取りに来るように伝える。
山村家に戻ったお峯は、何とか、機会を見て、山村家の御新造に、2円を借りられないだろうかと頼んでみて、承諾をしてもらう。
さて、山村家には、石之助という息子が居た。
しかし、この石之助は、先妻の子で、今の御新造とは、とても、仲が悪い。
石之助の生活は荒れ、お金を、湯水のように遣って、放蕩暮らし。
その石之助が、お金をせびりに、山村家に戻って来る。
当然、石之助の存在は、家の中では、厄介者。
山村家のごたごたの中で、お峯は、何とか、2円を貸してもらおうと御新造に話をしますが、「そんなものは知らない」と拒否されてしまう。
そこに、伯父の息子が、お金を貰いに、山村家の前にやって来る。
途方に暮れたお峯は、「硯」の中にしまわれていた20円の中から、ついに、2円を、こっそりと盗んでしまう。
そして、その2円を、伯父の息子に渡すのだが、お峯は、自分の行動を、大きく後悔した。
そして、50円を受け取った石之助は、また、どこかに出かけて行く。
大晦日には、山村家では、家のお金を全て整理する決まりがある。
当然、「硯」の中の20円もまた、確認をされる訳で、そこで、2円、足りないことも、当然、発覚をすることになる。
そうすれば、自分は、奉公を首になり、罪に問われるのではないか。
その前に、自分のしたことを、正直に白状した方が良いのではないか。
お峯は、大きく、悩む。
しかし、家の人が、お金の確認のために「硯」の引き出しを開けたところ、そこに、20円(お峰が盗った2円を引くと、18円)は無く、そこには、「ここにあったお金も、拝借しました。石之助」という書置きが。
さて、石之助は、お峰の行動を知っていて、かばったのでしょうか。
それとも、……。
樋口一葉の文章は、とても、難解で、注釈を見ながら文章を読んでも、恐らく、内容を理解することは難しい。
注釈を、全て、頭に入れた上で、何度も、本文を読み直す必要あるのでしょうが、今は、ネットで調べれば、粗筋は、簡単に調べられる。
粗筋を頭に入れた上で、文章を読むと、ある程度の内容は理解が出来て、面白いとは思うのですが、そもそも、物語を楽しみに小説を読む人には、意味が無いことなのかも。
この「大つごもり」で書かれているのは、「格差」と「理不尽」だろうと思います。
裕福な資産家は、貧しい一庶民のことなど、気にも留めない。
これは、一葉の生きた明治も、今の時代も、同じことなのかも。
そして、この「大つごもり」は、結末が、何か「含み」を持たせた終わり方になっているのも特徴です。
一葉は、何を言いたかったのでしょうか。