足利直冬という人物が居ます。
南北朝の時代に活躍をした人物で、「足利」という名字で分かるように、足利一族の一人。
室町幕府初代将軍、足利尊氏の庶長子、と、言うことになっていますが、どうも、尊氏自身は、この直冬を、自分の実子だと認めていなかったようでもある。
なぜかと言えば、直冬の母親の身分が低かったため。
直冬の母親は、一応、「越前局」ということになっているようですが、この越前局が、どこの、どういう人なのかは、よく分からないようですね。
父、足利尊氏は、自分の息子だという直冬を、嫌い、疎んじていたよう。
それを不憫に思ったのか、その頃、まだ、実子の居なかった尊氏の弟、足利直義が、直冬を養子に迎えることになる。
しかし、相変わらず、尊氏の直冬に対する気持ちは、変わらない。
直義の進言で、南朝軍と戦う大将に抜擢され、戦功を挙げますが、それが、ますます、尊氏の憎しみを買ったよう。
そして、足利尊氏と足利直義は、「観応の擾乱」で、敵対し、激しく、戦うことになりますが、そこから、直冬は、父、足利尊氏を相手に、死闘を繰り広げることになる。
個人的に、とても、興味深い人物なのですが、この本を見つけるまで、まさか、「足利直冬」をテーマにした本があるとは思わなかった。
僕の他にも、興味を持って読む人が居るのでしょうかね。
それにしても、DNA鑑定など無い時代、目の前の人物が、自分の子供なのかどうか、確かめる術は無いですよね。
そして、かつて、日本の社会では、性に関しては、非常に、緩やかな考えを持っていたようで、多くの人と関係を持つことも、不自然ではなかったよう。
武家として、頂点にある足利尊氏が、かつて、関係を持ったことがある身分の低い女性が母親であるという直冬を「本当に、自分の子供なのか。もしかすると、嘘をついて、自分に接近をしようとしているのではないか」と疑っても、不思議ではない。
しかし、直冬と、その母親が、「父親は、足利尊氏で間違いない」と確信をしていたのは事実なのでしょう。
そう言い切れるということは、越前局は、尊氏の他に、誰とも、関係を持たなかったということなのかと推測をするところ。
さて、真実は、如何に。