やなせたかしさん。

あの「アンパンマン」の作者として、有名ですよね。

一応、やなせさんは、「漫画家」ということになっていますが、なかなか、漫画家としては、芽が出なかったそう。

そして、様々な仕事を、頼まれるがままに、手を出して行くことになる。

この「何の仕事でも、頼まれれば、取り敢えず、断らない」というのは、やなせさんのポリシーでもあったよう。

その全てで、結果を出したということは、非常に、多才な人だったのでしょう。

 

 

この、やなせさんの言葉と共に、やなせさん自身が、自分の人生を振り返ったのが、この本。

とても、良い本で、非常に、感銘を受けました。

その中で、いくつか、印象に残っていること。

 

「正義」とは、立場によって、変わるもの。

しかし、「空腹の人に、食べ物を与えるということは、絶対的な『正義』ではないか」と、やなせさんは、考えたそう。

ここから「アンパンマン」は、生まれることになる。

 

やなせさんは、徴兵され、中国に送られたそうですね。

そこで、敵を相手にした実戦を経験することは、幸いにも、無かったそうですが、非常な「飢え」を経験したそうです。

やはり、「腹が減る」「飢える」というのは、耐え難く、辛いことなのでしょう。

そういった人に「食べ物を与える」というのは、絶対的に「正しいこと」であることには違いない。

 

また、やなせさんは、手塚治虫さんが制作をした映画「千夜一夜物語」の美術監督を務めたそう。

なぜ、自分が、美術監督を任されることになったのか、理由は、全く、分からないということだったそうですが、「頼まれた仕事は、断らない」ということで、やなせさんは、引き受けたそう。

そこで、やなせさんは、手塚治虫さんの、とんでもない仕事ぶりを、目の当たりにすることになる。

そこで、やなせさんは、「手塚さんは、『天才』であり、自分は、とても、手塚さんのように仕事をすることは出来ない。しかし、手塚さんと同じように『誠実』に仕事をすることは、自分にも出来るのではないか」と考えたそう。

自分なりに「誠実」に仕事をする。

これは、とても、大切なことなのではないでしょうか。

 

そして、やなせさん曰く、「仕事とは『喜ばせ合い』だ」ということ。

つまり、他人を、社会を、どれだけ「喜ばせる」ことが出来るか。

それが、「仕事」というものだと、やなせさんは、考えていたよう。

 

これは、とても、良い考えですよね。

自分が、他人を、社会を、どれだけ「喜ばせる」ことが出来るのか。

仕事の「価値」というものを、そう考えれば、働くことの喜びも出て来るでしょう。

 

「アンパンマン」のテレビ放送が始まったのは、1988年だそうですね。

しかも、その時は、まだ、このアニメがヒットするのかどうかは、未知数だったということ。

やなせさんは、1919年生まれ。

この時、すでに、69歳ということになる。

そして、「アンパンマン」は、大ヒット。

 

「遅咲き」と言っても、「遅咲き」に過ぎますよね。

 

今、長年、くすぶっている人も、「いつかは、自分も」と、頑張るしかない。

 

「人生に、無駄なことは無い」というのも、やなせさんの言葉。

 

これもまた、良い言葉です。