原作・林律雄、作画・高井研一郎「総務部総務課山口六平太」という漫画。
個人的に、大好きな漫画です。
2016年に、高井さんが亡くなったことで、惜しくも、連載は終了してしまいました。
まだまだ、読みたかったのですが。
舞台は、架空の大手自動車会社「大日自動車」。
その東京本社の総務部総務課で働いているヒラ社員の山口六平太が主人公。
一見、茫洋として、とらえどころの無い人物。
しかし、誰からも頼られ、何か、問題が起きれば、自然と、解決をしてしまうスーパーサラリーマン。
連載開始は、1985年。
基本的には、一話完結で、月日は流れるものの、登場人物たちは、年を取らない。
時事問題が取り上げられることは無いですが、その時々の世相は反映されている。
例えば、六平太は、いつも、タバコをくわえているヘビースモーカーとして登場する。
しかし、世の中は、「タバコは健康に害がある」ということで、禁煙に向かいましたよね。
それで、六平太の禁煙のエピソードも、描かれることになる。
また、携帯電話が広がり、誰もが、携帯電話を持つのが当たり前になった。
六平太が、なかなか、携帯電話を持とうとせず、周囲の同僚たちが、何とか、六平太に携帯を持ってもらおうとヤキモキとするエピソードも登場する。
「総務は何でも屋」というのが、第一話のタイトルですが、「総務」という仕事は、会社、社員の、あらゆることに関係する仕事のようですね。
六平太は、会社の中、そして、社員たちの、様々な問題に立ち合い、解決をすることになる。
この漫画の中で、個人的に、大好きなシーンがあります。
そして、それは、山口六平太という人物を象徴するシーンでもある。
パソコンが、世の中に広がり始めた頃、大日自動車でも、一人に一台、パソコンが支給され、苦手な人には、講習が、社内で開かれることになる。
その社内システムと環境の整備のために、各部署から、一人、メンバーが選ばれて、プロジェクトチームが作られることになる。
総務部から選ばれたのは六平太で、六平太は、特に、パソコンに詳しい訳ではない。
チームのリーダーは、自分の言うことに、なかなか、素直に従おうとしない六平太に業を煮やし、責任者の重役に「六平太を外してくれ」と頼みに行くことに。
「何で、あの人がチームに居るのですか、パソコンに詳しくもないのに」
と、言うリーダーの言葉に、重役は、
「あいつは、確かに、パソコンに詳しくはないが、『人間』のことは、よく知っているよ。あいつが、このチームに居る意味が、そのうちに分かる」
と、リーダーを諭す。
そして、このチームに起こる様々な問題を、六平太は、一つ、一つ、解決をして行くことに。
最初、六平太を嫌っていたリーダーも、次第に、六平太を頼りにするようになる。
六平太が相手にしているのは、いつも「人間」であり、それ以外に、何ものにもとらわれない。
だから、六平太は、人望を集め、問題を、自然に解決に導く。
こういう人間になりたいものです。