遠藤周作「人生の踏絵」を、読了。

 

遠藤さんの紀ノ国屋ホールでの何回かの講演をまとめたもの。

代表作である「沈黙」や、個人的に大好きな「侍」、そして、いつか、読みたいと思っている「スキャンダル」の創作の動機や、その過程が話されていて、なかなか、面白かったです。

外国人作家の小説をモデルに、キリスト教の話もあり、個人的には、外国人作家の小説は、ほぼ、読まないので、知らない人、知らない作品ばかりでしたが、小説家が、小説を書く時に、何を考え、何を伝えようとしているのかが知れて、面白かったです。

小説を読み解くというのは、やはり、相当な知識と、頭の良さが無ければ駄目ということのようですね。

しかし、最も、重要なのは、やはり「面白い」かどうかで、そもそも、面白くなければ、多くの人に読んでもらえない。

もっとも、頭の良さのレベルによって、「面白い」と思う作品も変わって来るのでしょうが。

 

 

さて、この「人生の踏絵」というタイトル。

 

「踏絵」とは、よく知られた、江戸時代に、キリシタンを弾圧するために用いられた手法で、キリストやマリアの絵が描かれたものを踏ませるというもの。

 

人生の中には、自分にとって、大切なものを、どうしても、踏みつけなければ、先に進めないこともある。

自分は、決して、そんなことはしないという強い人も居るのでしょうが、遠藤さん自身も、そして、多くの人たちも、そうではない、弱い人。

僕もまた、その弱い人の一人なので、遠藤さんの小説、キリスト教観に、共感をするのかも。