母のお腹に入る直前のこと、私は他の子どもたち4、5人と一緒に、横一列に並んでいました。
私の左側には、大人の男性とも女性ともつかない方が一人、立っていました。
大人も私たち子どもも皆、同じ格好をしていて、白いシーツに首と腕の部分だけ穴を開けたような、足首までストンと隠れる簡素なワンピースのようなものを着ていました。
そして、目の前に現れた雲で出来たトンネルのようなものを覗き込むようにして、皆で一人の女性を見ていました。
その女性は、何だかとても荒れた雰囲気で、自暴自棄になっているようでした。
手には小さな光るものが見えました。
しばらく皆で様子を見ていましたら、私の左隣に立っていた大人の方が、すっとその女性のほうを指差し、「この中から一人、あの方のところへ行ってもらいます。誰が行きますか?」と言いました。
私を含め、その場にいた子どもたちは皆、黙ったまま下を向いてしまいました。
女性の荒れた様子から、その場にいた全員が、“行きたくない”と思っているのがアリアリと伝わってきます。
その場に気まずい空気が流れました。
どれくらいの時間が経ったのか、そもそも時間というものが存在したのかも分かりません。
私は無言のプレッシャーのような、何とも言えないその場の重い空気に耐えられず、下を向いたまま、目を固くギュッと瞑り、手を挙げました。
「行きます!行きますよ!行けばいいんでしょ!!」
そのときの私の心情としては、まさにそんな、やけっぱちめいた気持ちでした。